平成23年特別試験午後問題 問4
問4 ネットワーク
ルータの経路制御テーブルの更新に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
ルータは,二つ以上の異なるネットワークをまたいだ通信における通信経路の選択を,ルータ内の経路制御情報を格納したテーブル(以下,テーブルという)に基づいて行う。同一のネットワークに接続された端末(ルータを含む)は同じネットワークアドレスをもつ。あるネットワークでフロードキャストしたパケットは異なるネットワークには転送されない。
テーブルの各レコードは送信先ネットワークのための経路制御情報を表し,送信先ネットワークアドレス(主キー),転送先ルータのIPアドレス及び距離で構成される。送信先ネットワークアドレスは受信したパケットのあて先のネットワークアドレスであり,転送先ルータのIPアドレスはそのパケットを転送すべきルータのIPアドレスである。あるネットワークあてのパケットは,該当する転送先ルータに転送すればよいことを表す。距離は,そのルータから転送されたパケットが,送信先のネットワークに到達するまでに経由するルータの個数である。
ネットワーク構成の例を図1に,図1中のルータ1のテーブルの例を図2に示す。 ルータは,同一のネットワークに接続しているほかのルータが,ブロードキャストで定期的に送信する経路制御情報を受信することによって,自身のテーブルを更新する。これによって,異なるネットワーク上の端末にパケットを送信するときに,目的の端末にパケットが到達するまでに経由するルータの個数が最小になるよう,テーブルを動的に構成することができる。テーブルの更新手順を次に示す。
〔テーブルの更新手順〕
ルータは,二つ以上の異なるネットワークをまたいだ通信における通信経路の選択を,ルータ内の経路制御情報を格納したテーブル(以下,テーブルという)に基づいて行う。同一のネットワークに接続された端末(ルータを含む)は同じネットワークアドレスをもつ。あるネットワークでフロードキャストしたパケットは異なるネットワークには転送されない。
テーブルの各レコードは送信先ネットワークのための経路制御情報を表し,送信先ネットワークアドレス(主キー),転送先ルータのIPアドレス及び距離で構成される。送信先ネットワークアドレスは受信したパケットのあて先のネットワークアドレスであり,転送先ルータのIPアドレスはそのパケットを転送すべきルータのIPアドレスである。あるネットワークあてのパケットは,該当する転送先ルータに転送すればよいことを表す。距離は,そのルータから転送されたパケットが,送信先のネットワークに到達するまでに経由するルータの個数である。
ネットワーク構成の例を図1に,図1中のルータ1のテーブルの例を図2に示す。 ルータは,同一のネットワークに接続しているほかのルータが,ブロードキャストで定期的に送信する経路制御情報を受信することによって,自身のテーブルを更新する。これによって,異なるネットワーク上の端末にパケットを送信するときに,目的の端末にパケットが到達するまでに経由するルータの個数が最小になるよう,テーブルを動的に構成することができる。テーブルの更新手順を次に示す。
〔テーブルの更新手順〕
- ルータは,そのルータに直接接続されたすべてのネットワークに,ブロードキャストで,保持するすべての経路制御情報を送信する。最初の送信は起動直後に行い,以後30秒間隔で送信する。
- 起動中のルータは,ほかのルータから送信された経路制御情報を受信し,自身のテーブルを次のとおりに更新する。
- 受信した経路制御情報のそれぞれの距離に1を加え,その距離を更新距離とする。
- 受信した経路制御情報のうち,送信先ネットワークアドレスが一致するレコードが自身のテーブルにあるものは,更新距離と該当するレコードの距離を比較し,更新距離の方が小さい場合は,距離を更新距離の値に,転送先ルータのIPアドレスを受信した経路制御情報の送信元ルータのIPアドレスに更新する。
- 受信した経路制御情報のうち,送信先ネットワークアドレスが一致するレコードが自身のテーブルにないものは,自身のテーブルに追加する。ただし,距離は更新距離の値とし,転送先ルータのIPアドレスは受信した経路制御情報の送信元ルータのIPアドレスとする。
広告
設問
次の記述中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
図1のネットワーク構成の例において,ルータ1,2,3を順に,5秒間隔で起動した。各ルータの起動直後のテーブルには,それぞれのルータが直接接続されたネットワーク(ルータ1ではネットワークAとネットワークB)の経路制御情報だけがあるとすると,ルータ1にネットワークCのための経路制御情報が反映されるのは,図3に示すように,ルータ1を起動した5秒後(ルータ2が起動直後に送信したテーブルを受信したとき)であり,ネットワークDのための経路制御情報が反映されるのは,ルータ1の起動からa秒後である。 ルータ2にネットワークAのための経路制御情報が反映されるのは,ルータ1の起動からb秒後であり,そのときのルータ2のテーブルは,表1となる。 また,ルータ1の起動から20秒後には,ルータ3のテーブルに,dのための経路制御情報が保持され,40秒後には,eのための経路制御情報が保持されている。
図1のネットワーク構成の例において,ルータ1,2,3を順に,5秒間隔で起動した。各ルータの起動直後のテーブルには,それぞれのルータが直接接続されたネットワーク(ルータ1ではネットワークAとネットワークB)の経路制御情報だけがあるとすると,ルータ1にネットワークCのための経路制御情報が反映されるのは,図3に示すように,ルータ1を起動した5秒後(ルータ2が起動直後に送信したテーブルを受信したとき)であり,ネットワークDのための経路制御情報が反映されるのは,ルータ1の起動からa秒後である。 ルータ2にネットワークAのための経路制御情報が反映されるのは,ルータ1の起動からb秒後であり,そのときのルータ2のテーブルは,表1となる。 また,ルータ1の起動から20秒後には,ルータ3のテーブルに,dのための経路制御情報が保持され,40秒後には,eのための経路制御情報が保持されている。
a,b に関する解答群
- 5
- 10
- 30
- 35
- 40
c に関する解答群
d,e に関する解答群
- ネットワークA,B,C及びD
- ネットワークA,B及びC
- ネットワークA,B及びD
- ネットワークA,C及びD
- ネットワークB,C及びD
- ネットワークC及びD
解答選択欄
- a:
- b:
- c:
- d:
- e:
- a=エ
- b=ウ
- c=イ
- d=カ
- e=ア
解説
〔aについて〕ルータが経路制御情報を送信するのは次の2つの場合です。
- 起動直後
- 起動後30秒ごと
- 0秒
- ルータ1が起動
- 5秒後
- ルータ2が起動
- 10秒後
- ルータ3が起動して情報送信、ルータ2がネットワークDの情報を受信
- 30秒後
- ルータ1が情報送信
- 35秒後
- ルータ2が情報送信、ルータ1がネットワークDの情報を受信
〔bについて〕
ルータ1がもつネットワークAの経路制御情報が、ルータ2に反映されるまでの流れは次の通りです。
- 0秒
- ルータ1が起動
- 5秒後
- ルータ2が起動
- 10秒後
- ルータ3が起動
- 30秒後
- ルータ1が情報送信、ルータ2がネットワークAの情報を受信
〔cについて〕
ルータ2は起動時、直接接続されているネットワークBとネットワークCの経路情報を持っています。ここにルータ3から受信したネットワークDの情報と、ルータAから受信したネットワーク1の情報が加わります。図1のIPアドレスを対応させると、
- ルータ3 … 10.0.2.2
- ネットワークD … 10.0.3.0/24
- ルータ1 … 10.0.1.1
- ネットワークA … 10.0.0.0/24
∴イ:
〔dについて〕
ルータ1の起動から25秒後の時点では、ルータ3はまだ他のルータから経路制御情報を受信していません。したがって、ルータ3のルーティングテーブルは起動時のまま、すなわち直接接続しているネットワークC及びDの情報だけが格納されています。
∴d=ネットワークC及びD
〔eについて〕
ルータ1の起動から30秒後にはルータ1の情報がルータ2に送信され、35秒後にはルータ2の情報がルータ3に送信されます。これにより、ネットワークA及びBの経路制御情報がルータ3に登録されます。∴e=ア:ネットワークA,B,C及びD
広告
広告