平成25年春期試験午後問題 問7
問7 経営戦略・企業と法務
市場分析と需要予測に関する次の記述を読んで,設問1~3に答えよ。
清涼飲料メーカーのZ社は,海外の5か国(A国,B国,C国,D国及びE国)への進出を検討している。Z社の企画課では,各国の清涼飲料市場の分析を行うことにした。
清涼飲料メーカーのZ社は,海外の5か国(A国,B国,C国,D国及びE国)への進出を検討している。Z社の企画課では,各国の清涼飲料市場の分析を行うことにした。
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設問1
図1は,2002~2011年(以下,対象期間という)の各国における清涼飲料の年間販売数量の推移である。図1に関する記述の中で適切なものを解答群の中から三つ選べ。ここで,対象期間販売数量伸び率とは,次の式で求められる値とする。
2011年の年間販売数量÷2002年の年間販売数量
2011年の年間販売数量÷2002年の年間販売数量
解答群
- 5か国合計の年間販売数量は,対象期間中において毎年増加している。
- 5か国の年間販売数量の順位に変動があったのは,2005年と2009年だけである。
- A国は5か国の中で対象期間中の販売数量が最も多く,対象期間販売数量伸び率が最も高い。
- B国は5か国の中で対象期間中の販売数量は最も少ないが,対象期間販売数量伸び率は最も高い。
- C国は5か国中で唯一,2011年の年間販売数量が2002年よりも少ない。
- D国は2008年から2011年までの年間販売数量は毎年増加しているが,対象期間販売数量伸び率は5か国の中で最も低い。
- E国は2002年に対する2011年の年間販売数量の増加量が5か国の中で最も多い。
- 年間販売数量が対象期間中において毎年増加しているのは2か国である。
解答選択欄
- ア
- エ
- キ
解説
- 正しい。年によっては販売数量が減少している国もありますが、その下げ幅よりも他の国の上げ幅の合計の方が常に高いため、販売数量は対象期間中において毎年増加しています。
- 誤り。順位の変動があるとグラフの折れ線に交わりが生じることになります。下図のように交わりは3箇所あるため、対象期間中に3回の順位変動が発生したことがわかります。
- 誤り。各国の販売数量伸び率は次のようになります。(グラフから読み取れるおよその値で算出しています)
[A国] 180÷100=1.8
[B国] 80÷10=8
[C国] 125÷20=6.25
[D国] 115÷65=1.7…
[E国] 175÷35=5
伸び率の最も高いのはB国です。 - 正しい。グラフからB国の販売数量は他の5カ国中最下位であることがわかり、伸び率は上記の計算からB国が最も高いとわかります。
- 誤り。C国の販売数量をグラフ上から読取ると2002年が約20、2011年が約125なので2011年のほうが多いです。
- 誤り。D国の2008~2011年の推移を見ると、2009年で減少しています。
- 正しい。各国の販売数量の増加量は次のようになります。(グラフから読み取れるおよその値で算出しています)
[A国] 180-100=80
[B国] 80-10=70
[C国] 125-20=105
[D国] 115-65=50
[E国] 175-35=140
増加量が最も高いのはE国です。 - 誤り。毎年増加しているのはA国,B国,E国の3つです。
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設問2
企画課では,各国の清涼飲料の年間売上金額についてのデータを収集した。ここで,年間売上金額は,年単位に更新される為替レートで換算された米ドルのデータしか入手できなかった。表1はその抜粋であり,2010年と2011年のC国における清涼飲料の年間販売数量と年間売上金額である。表1に関する次の記述中の に入る適切な答えを,解答群の中から選べ。 表1について,企画課では,2011年が2010年に比較して年間販売数量が減少しているものの年間売上金額は増加していること,すなわち平均の商品単価(年間 売上金額÷年間販売数量)が上がっていることに着目した。企画課はこれらの原因として,インフレや増税などに起因するa,C 国内の経済成長の結果としての所得増によりb,若しくは為替レートに関係したcのいずれか一つ,又はその組合せと考えた。これらの動きは,C 国の将来の市場成長に大きな影響を与える可能性があるので,企画課ではその要因を調査することにした。
a に関する解答群
- 商品の種類の減少
- 商品の種類の増加
- 商品の値上げ
- 商品の値下げ
b に関する解答群
- 高価格帯商品へ購入がシフト
- 低価格帯商品へ購入がシフト
- 商品の購入頻度が減少
- 商品の購入頻度が増加
- 商品の購入量が減少
- 商品の購入量が増加
c に関する解答群
- 日本円に対する現地通貨高
- 日本円に対する現地通貨安
- 日本円に対する米ドル高
- 日本円に対する米ドル安
- 米ドルに対する現地通貨高
- 米ドルに対する現地通貨安
解答選択欄
- a:
- b:
- c:
- a=ウ
- b=ア
- c=オ
解説
〔aについて〕「インフレや増税に起因する」という記述があります。インフレーションは、物やサービスへの需要が増すことで物価が持続的に上昇し、相対的に貨幣価値が下がっていく経済現象です。
インフレも増税も物価が上昇する要因となる事象なので、aは商品単価の上昇に繋がる「商品の値上げ」が適切です。
a=ウ:商品の値上げ
〔bについて〕
選択肢のうち所得増になったことによる行動は「高価格帯商品へ購入がシフト」「商品の購入頻度が増加」「商品の購入量が増加」の3つですが、2011年の年間販売数量は2010年と比較して減少しているため、このうち「購入頻度増加」と「購入量増加」は要因として不適切です。
b=ア:高価格帯商品へ購入がシフト
〔cについて〕
表のデータは現地通貨での売上金額を「為替レートで換算した米ドルのデータ」なので、現地通貨と米ドルの為替レートが関係していることがわかります。
仮にC国での売上高が100(現地通貨)であったとすると、
- 1(米ドル)=1(現地通貨) の為替レート時に計上される売上高は 100(米ドル)
- 1(米ドル)=2(現地通貨) の為替レート時に計上される売上高は 50(米ドル)
c=オ:米ドルに対する現地通貨高
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設問3
企画課では,各国の将来の需要予測を行うことにした。需要予測に関する次の記述中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
企画課では,各国の将来の清涼飲料の需要予測式を,年間販売数量を目的変数,1人当たり GDP と人口を説明変数として,重回帰分析を使って導出した。その結果,為替レートの変動が少ない E 国に関する需要予測式は,次のとおりであった。 表2は,企画課で推定した E 国の将来の1人当たり GDP,人口及び清涼飲料の1箱当たりの平均単価の予測である。 企画課では,需要予測式と表2から,E 国の清涼飲料の年間販売数量は,dと予測した。また,E 国の清涼飲料の年間売上金額(米ドル基準)は,eと予測した。
企画課では,各国の将来の清涼飲料の需要予測式を,年間販売数量を目的変数,1人当たり GDP と人口を説明変数として,重回帰分析を使って導出した。その結果,為替レートの変動が少ない E 国に関する需要予測式は,次のとおりであった。 表2は,企画課で推定した E 国の将来の1人当たり GDP,人口及び清涼飲料の1箱当たりの平均単価の予測である。 企画課では,需要予測式と表2から,E 国の清涼飲料の年間販売数量は,dと予測した。また,E 国の清涼飲料の年間売上金額(米ドル基準)は,eと予測した。
d,e に関する解答群
- 2011年に対して2015年が,2015年に対して2020年がともに減少する
- 2011年に対して2015年が,2015年に対して2020年がともに増加する
- 2011年に対して2015年は減少するが,2015年に対して2020年は増加する
- 2011年に対して2015年は増加するが,2015年に対して2020年は減少する
解答選択欄
- d:
- e:
- d=エ
- e=イ
解説
〔dについて〕各年の年間販売数量を設問で与えられた需要予測式を使用して計算します。
[2011年]
16×6.5+35×27.1-872
=104+948.5-872=180.5(百万箱)
[2015年]
16×7+35×27-872
=112+945-872=185(百万箱)
[2020年]
16×7.2+35×26.8-872
=115.2+938-872=181.2(百万箱)
販売数量は 180.5→185→181.2 と推移するため、合致する記述は「エ」になります。
d=エ:2011年に対して2015年は増加するが,2015年に対して2020年は減少する
〔eについて〕
dで求めた販売数量の予測値に表2内の"1箱当たらいの平均単価"をかけて年間売上金額を計算します。
[2011年] 180.5×10=1,805
[2015年] 185×12=2,220
[2020年] 181.2×13=2,355.6
年間売上金額は 1,805→2,220→2,355.6 と推移するため、合致する記述は「イ」になります。
e=イ:2011年に対して2015年が,2015年に対して2020年がともに増加する
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