平成26年春期試験午後問題 問5
問5 ソフトウェア設計
システム統合に伴うソフトウェア設計に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。
C社は大型の電子工具を製造する中堅メーカーである。このたび,競争力の強化を図るために,小型の電子工具を製造するD社を吸収合併することにした。
これに伴い,両社の基幹システムを統合することとなった。早期にシステムを稼働させるために,C社の基幹システム(以下,C社システムという)に,D社の基幹システム(以下,D社システムという)の機能を追加するというシステム統合の方針を決めた。
なお,C社は受注生産方式,D社は見込生産方式と,異なる生産方式を採っているが,D社の吸収合併後も,C社製品,D社製品それぞれの生産方式は変更しない。
〔システム統合の方針〕
図1にC社システムの構成を示す。
図2にD社システムの構成の一部を示す。ここでは,D社システムのうち,システム統合に関係するものだけを記載している。
C社は大型の電子工具を製造する中堅メーカーである。このたび,競争力の強化を図るために,小型の電子工具を製造するD社を吸収合併することにした。
これに伴い,両社の基幹システムを統合することとなった。早期にシステムを稼働させるために,C社の基幹システム(以下,C社システムという)に,D社の基幹システム(以下,D社システムという)の機能を追加するというシステム統合の方針を決めた。
なお,C社は受注生産方式,D社は見込生産方式と,異なる生産方式を採っているが,D社の吸収合併後も,C社製品,D社製品それぞれの生産方式は変更しない。
〔システム統合の方針〕
- C社とD社の両方に存在するシステムについては,C社システムに,D社システムの固有機能を追加する。この固有機能の追加では,D社システムの既存のプログラムをできるだけ再利用する。
- D社システムを構成する各システム間で行っているデータの連携は,統合後のシステムにおいても,システム統合前の仕様を踏襲する。
- D社システムだけにある在庫管理システムはそのまま利用し,在庫管理システムと,他システムの連携に関しては,新規にインタフェースを開発する。
図1にC社システムの構成を示す。
- 販売管理システム
- 顧客からEDI(電子データ交換)で受注する。受注の都度,受注情報を生産管理システムに渡す。
- 出荷実績に基づき,日次で売上計上し,売掛情報を会計システムに渡す。
- 月初に,顧客に対してEDIで前月の納品分を請求する。
- 生産管理システム
- 受注情報に基づき,週次で製品ごとの生産計画を作成する。生産計画作成時点で,製造に必要な部品の調達指示を調達管理システムに渡す。また,生産計画に基づき,製品の出荷指示を配送管理システムに渡す。
- その他,生産工程の作業管理を行い,発生した作業実績(原価情報)を週次で会計システムに渡す。
- 調達管理システム
- 調達指示に基づき,部品を発注する。部品の納品(入荷)時に,入荷実績を生産管理システムに渡す。
- 買掛情報を月次で会計システムに渡す。
- 配送管理システム
- 出荷指示に基づき,週次で配送計画を作成する。製品の出荷後は,出荷実績を日次で販売管理システムに渡す。
- 配送経費情報を月次で会計システムに渡す。
- 会計システム
- 顧客別の請求情報を月次で販売管理システムに渡す。
- 原価計算,売掛・買掛管理,一般会計処理などを行う。
図2にD社システムの構成の一部を示す。ここでは,D社システムのうち,システム統合に関係するものだけを記載している。
- 販売管理システム
- 電話,メール及びファックスで注文を受け付け,D社の社員が端末から受注情報を入力する。この時点で出荷指示を在庫管理システムに渡す。
- 月初に,顧客別に前月納品分の請求書を一括で発行し,顧客に郵送する。
- 在庫管理システム
- 製品及び部品の在庫を管理し,入出庫の都度,在庫情報を更新する。
- 出荷指示に基づいて在庫を引き当てる。
- 出荷実績を日次で販売管理システムに渡す。
- 配送経費情報を月次で会計システムに渡す。
- 生産管理システム
- 販売管理システムの売掛情報と,在庫管理システムの在庫情報を参照し,製品ごとの生産計画を日次で作成する。
- 生産計画に基づき,部品の出庫指示を在庫管理システムに,調達指示を調達管理システムに渡す。また,製品の計画時点の入庫情報を在庫管理システムに渡す。
- 製品の完成時の入庫情報を在庫管理システムに渡す。
- 調達管理システム
- 調達指示に基づき,部品を発注し,発注情報を在庫管理システムに渡す。
- 部品の納品(入荷)時に,入荷実績を在庫管理システムに渡す。
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設問1
表1は,システム統合に当たりC社システムに追加開発が必要となる機能を整理した表である。表中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
a に関する解答群
- 会計
- 生産管理
- 調達管理
- 配送管理
b に関する解答群
- 在庫情報と売掛情報から,製品ごとの生産計画を日次で作成する機能
- 作業実績(原価情報)から,月次で原価計算をする機能
- 受注情報から,月別の販売予測を作成する機能
- 出荷指示の情報から,週次の配送計画を作成する機能
- 請求情報から,月別,顧客別に請求書を作成する機能
解答選択欄
- a:
- b:
- a=イ
- b=ア
解説
選択肢の追加機能をC社、D社のシステムに照らし合わせると次のように考えることができます。- 正しい。C社では生産計画を週次、D社では日次で作成という違いがあるので、C社のシステムに生産計画を日次で作成する機能の追加が必要です
- 〔D社システムの説明〕には会計システムに関する記載がないので、システム統合に当たって追加機能は必要ありません。
- C社のシステムに備わっていませんが、D社でも使用されていない機能なので追加の必要はありません。
- C社の配送管理システムに備わっている機能です。
- C社では「EDI」、D社では「請求書を印刷し顧客に郵送する」という請求方式の違いがあるのでC社のシステムに請求書を印刷する機能の追加が必要ですが、aの選択肢に販売管理システムが存在しないため対象外です。(表1の網かけ部分に入るのが適当な機能です)
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設問2
システム統合の完了後,C社が経営課題の一つとして抱えていた納期短縮を目的として,C社の製品及び部品も,一定量の在庫を保有してリードタイムを短縮することにした。
これに伴い,システム間の情報の渡し方を見直して,在庫管理システムが他システムから在庫の更新要求を受け取るシステム間連携のインタフェースを新たに開発する。
〔在庫管理に関する説明〕
これに伴い,システム間の情報の渡し方を見直して,在庫管理システムが他システムから在庫の更新要求を受け取るシステム間連携のインタフェースを新たに開発する。
〔在庫管理に関する説明〕
- 在庫は,製品と部品のどちらも,同一体系で一意となる品番コードで実在庫と有効在庫を管理する。
- 実在庫は,実際に保有する製品及び部品の在庫の数量である。
- 製品の有効在庫は,実在庫に翌日までに完成する製品数を加算し,受注に対して引当て済みの製品数を減算した数量である。
- 部品の有効在庫は,実在庫に調達中(未納品)の発注数を加算し,生産計画に対して引当て済みの部品数を減算した数量である。
- 受注時は,有効在庫から受注数を引き当てる。
- 生産計画時に,翌日までに生産予定の製品数を有効在庫として加算する。また,同時に生産に必要となる部品を有効在庫から引き当てる。
- 部品が不足し,調達先へ発注したときは,発注分を有効在庫として加算する。部品が調達先から納品されたら実在庫として加算する。
- 部品は,生産工程に投入されたら実在庫を減算する。
- 製品の完成時に,製品の実在庫として加算する。
- 製品の出荷時に,製品の実在庫を減算する。
c,d,e,f に関する解答群
解答選択欄
- c:
- d:
- e:
- f:
- c=キ
- d=エ
- e=カ
- f=イ
解説
〔在庫管理に関する説明〕を参照して当てはめていきます。〔cについて〕
生産管理システムの生産計画時の処理ですが、(6)に「生産計画時に,翌日までに生産予定の製品数を有効在庫として加算する。また,同時に生産に必要となる部品を有効在庫から引き当てる」とあるので、
- (製品)有効在庫,入庫,生産予定数
- (部品)有効在庫,出庫,生産予定数
∴c=キ
〔dについて〕
調達管理システムの部品納品時の処理ですが、(7)に「部品が調達先から納品されたら実在庫として加算する」とあるので「実在庫,入庫,納品数」が適切です。
∴d=エ
〔eについて〕
販売管理システムの受注時の処理ですが、(5)に「受注時は,有効在庫から受注数を引き当てる」とあるので「有効在庫,出庫,受注数」が適切です。
∴e=カ
〔fについて〕
配送管理システムの製品出荷時の処理ですが、(10)に「製品の出荷時に,製品の実在庫を減算する」とあるので「実在庫,出庫,出荷数」が適切です。
∴f=イ
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