平成27年秋期試験午後問題 問6
問6 プロジェクトマネジメント
プロジェクトの見積りに関する次の説明を読んで,設問1~3に答えよ。
P社は,得意先であるQ社の業務システム開発を受託した。今回は,前回開発したシステムの機能拡張であり,前回と同じメンバーによるプロジェクトチーム(以下,チームという)が開発を担当することになった。
〔プロジェクトの概要〕
P社は,得意先であるQ社の業務システム開発を受託した。今回は,前回開発したシステムの機能拡張であり,前回と同じメンバーによるプロジェクトチーム(以下,チームという)が開発を担当することになった。
〔プロジェクトの概要〕
- このチームの工程別の生産性基準値は,表1のとおりである。
- メンバーの総数は5人である。
- 各メンバーの1日の作業時間は8時間,1週間の作業日数は5日である。また,メンバーの生産性は,全員等しいとする。
- 各工程の途中段階で開発規模の再見積りを行い,各工程の分担を見直すことにする。
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設問1
設計工程及び設計工程での再見積り後の予測に関する次の記述中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
設計工程に着手する前の時点(以下,当初という)に見積もった開発規模は,100k ステップであった。当初の見積り規模及び表1に示す生産性基準値から算出した設計工程の所要工数は,a人時である。
設計工程では,当初の見積り規模を基に,メンバー全員が設計を均等に分担して,全員が同時に設計を開始した。第1週から第8週まで,全員が毎週 40 時間を消費した。設計が進んだ結果,各メンバーが分担している開発規模が均等でないことが判明した。
現在は設計工程の第8週末の時点であり,現在の設計進捗率を基に開発規模の再見積りを行った。再見積り後の開発規模はbkステップであり,設計~テスト工程の総工数はc人時となる。第9週以降もこのままの分担で設計を続けた場合,各メンバーの設計終了までに要する予測時間は,表2のとおりである。
設計工程に着手する前の時点(以下,当初という)に見積もった開発規模は,100k ステップであった。当初の見積り規模及び表1に示す生産性基準値から算出した設計工程の所要工数は,a人時である。
設計工程では,当初の見積り規模を基に,メンバー全員が設計を均等に分担して,全員が同時に設計を開始した。第1週から第8週まで,全員が毎週 40 時間を消費した。設計が進んだ結果,各メンバーが分担している開発規模が均等でないことが判明した。
現在は設計工程の第8週末の時点であり,現在の設計進捗率を基に開発規模の再見積りを行った。再見積り後の開発規模はbkステップであり,設計~テスト工程の総工数はc人時となる。第9週以降もこのままの分担で設計を続けた場合,各メンバーの設計終了までに要する予測時間は,表2のとおりである。
a に関する解答群
- 1,000
- 1,500
- 2,000
- 2,500
b に関する解答群
- 102
- 104
- 106
- 108
c に関する解答群
- 4,080
- 4,160
- 4,240
- 4,360
解答選択欄
- a:
- b:
- c:
- a=ウ
- b=イ
- c=イ
解説
〔aについて〕当初の開発規模の見積りは 100kステップ、表1より設計工程の生産性は 0.05kステップ/人時なので、所要工数は次のように計算できます。
100÷0.05=2,000(人時)
a=ウ:2,000
〔bについて〕
第1週から第8週までに投入された工数は、
5人×8時間×5日×8週=1,600(人時)
表2より、設計工程を完成させるために必要となる第9週以降の工数の合計は
200+160+100+20=480(人時)したがって設計工程の所要工数は以下の通りです。
1,600+480=2,080(人時)
設計工程の生産性は 0.05kステップ/人時 なので、設計工程の開発規模は、
2,080×0.05=104(kステップ)
が適切です。
b=イ:104
〔cについて〕
再見積り後の開発規模104kステップを基に総工数を見積もります。
- [設計工程]:104÷0.05=2,080(人時)
- [プログラミング工程]:104÷0.1=1,040(人時)
- [テスト工程]:104÷0.1=1,040(人時)
2,080+1,040+1,040=4,160(人時)
c=イ:4,160
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設問2
第8週末時点での進捗に関する次の記述中の に入れる適切な答えを 解答群の中から選べ。
表2から,dの設計工数が当初の計画値を超えている。このままの分担で継続すると納期に遅延が生じるので,第9週以降の作業分担について見直しを行うことにした。
表2から,dの設計工数が当初の計画値を超えている。このままの分担で継続すると納期に遅延が生じるので,第9週以降の作業分担について見直しを行うことにした。
d に関する解答群
- B及びDの2人
- B,D及びEの3人
- C以外の4人
- Dのただ1人
解答選択欄
- d:
- d=イ
解説
当初の設計工程の見積もりは2,000人時でした。作業は5人のメンバー全員が均等に分担して行う予定であったため、当初の1人当たりの工数は、2,000÷5=400(人時)
であったと考えられます。また各メンバーが週40時間の作業を行ったため第8週末の時点での1人当たりの消化工数は、
8時間×5日×8週=320(人時)
となります。
つまり「第8週末に消化済みの320時間と第9週以降に予測される作業時間の合計」が400時間を超えるメンバーは、当初の計画値を超えると判断できます。
- A…320+40+40=400
- B…320+40+40+40=440
- C…320+40=360
- D…320+40+40+40+20=460
- E…320+40+40+20=420
d=イ:B,D及びEの3人
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設問3
各メンバーの開発に掛かる工数が均等になるように,第9週以降の作業分担の見直し案として次の二つの案を考えた。残りの設計の途中で設計変更が発生するリスクの影響を考慮して,どちらの案を採用するかを検討したい。ここで,設計変更が発生しても開発規模は変わらないものとする。評価として誤っている答えを,解答群の中から選べ。
第1案は,残りの設計を表2に示した当初の分担のまま実行し,各メンバーが設計を終了し次第,プログラミングに着手する。このとき,再見積り後の開発規模を基に全員のプログラミングの終了日がそろうようにプログラミングの分担を割り振る。かつ,テストの分担は全員が均等になるように割り振る。
第2案は,全員の設計の終了日がそろうように残りの設計の分担を割り振る。かつ,プログラミングとテストの分担もそれぞれ全員が均等になるように割り振り,全員のプログラミングの開始日及び終了日をそろえる。
第1案は,残りの設計を表2に示した当初の分担のまま実行し,各メンバーが設計を終了し次第,プログラミングに着手する。このとき,再見積り後の開発規模を基に全員のプログラミングの終了日がそろうようにプログラミングの分担を割り振る。かつ,テストの分担は全員が均等になるように割り振る。
第2案は,全員の設計の終了日がそろうように残りの設計の分担を割り振る。かつ,プログラミングとテストの分担もそれぞれ全員が均等になるように割り振り,全員のプログラミングの開始日及び終了日をそろえる。
解答群
- 設計変更が発生しなかった場合,プログラミング工程の終了日は第1案の方が第2案よりも早くなる。
- 設計変更が発生した場合,第1案では,設計工程のコスト増及びスケジュール遅延だけでなく,その影響で,既に着手していたプログラミングの手戻りなどが発生して,プログラミング工程のコスト増が発生する可能性がある。
- 設計変更が発生した場合,第2案では,設計工程のコスト増及びスケジュール遅延は発生するが,その影響で,プログラミング工程のコスト増は発生しない。
解答選択欄
- ア
解説
- 誤った記述なので正解です。プログラミング終了までに行う作業量は「設計工程の残り工数と、プログラミング工程の工数の合計」なので作業量は第1案、第2案で等しくなります。両案ともプログラミングの終了日が揃うように作業を割り振るため、プログラミング工程の終了日は同じ日になります。
- 正しい記述です。第1案では設計工程が完了するまでにプログラミングを開始するので、設計変更が生じた場合には、それに伴いプログラミング工程の手戻り等が発生する可能性があります。
- 正しい記述です。第2案では設計が完成してからプログラミングに移ります。設問には「設計変更が生じても開発規模は変わらない」とあるので、設計変更に伴い設計工程のコストが増加することはあってもプログラミング工程の所要工数への影響はありません。
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