平成28年春期試験午後問題 問4
問4 ネットワーク
イーサネットを介した通信に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。
IPネットワークにおいて,あるホストが別のホストと通信する場合,通信相手のホストのIPアドレスを指定して通信する。下位層にイーサネットを用いるときには,通信相手のホストのMACアドレス,又は通信相手のホストに到達可能なルータのMACアドレスが必要になる。しかし,IPネットワークで通信を行うアプリケーションでは,通信相手のIPアドレスやホスト名を明示的に指定することはあっても,MACアドレスを明示的に指定することはない。したがって,IPアドレスを手掛かりとして必要なMACアドレスを得るために,IPネットワークではARP(アドレス解決プロトコル)というプロトコルが用いられる。
〔MACアドレスに関する説明〕
イーサネットとIPをOSI基本参照モデルに当てはめた場合,イーサネットは物理層とデータリンク層に該当し,IPはネットワーク層に該当する。つまり,IPネットワークでの通信で取り扱うIPデータグラムを,下位層のイーサネットで送信するためには,IPデータグラムをaしたイーサネットフレームを送信する。このとき,イーサネットフレームの宛先を表すアドレスとして用いられるのがMACアドレスである。MACアドレスの長さは48ビットであり,表現可能なアドレスの個数はb個となる。
なお,ここではMACアドレスを表記する際,8ビットごとに2桁の16進数00~FFで表し,それぞれの間はコロンで区切る。例えば,00:53:00:12:C5:8A のように表す。
〔ARPの機能の説明〕
IPアドレスを基にMACアドレスを得るARPの機能は,問合せとして"ARP要求"を送信し,それに対する回答として"ARP応答"を受け取ることで実現される。
例えば,セグメント 10.1.1.0/24 において,ホストA(IPアドレス 10.1.1.10,MACアドレス 00:53:00:DA:C7:OB)がホストB(IPアドレス 10.1.1.20,MACアドレス 00:53:00:EC:17:27)宛てにIPデータグラムを送信しようとしたとき,ホストBのMACアドレスはARPによって,次のようにして得られる。
IPネットワークにおいて,あるホストが別のホストと通信する場合,通信相手のホストのIPアドレスを指定して通信する。下位層にイーサネットを用いるときには,通信相手のホストのMACアドレス,又は通信相手のホストに到達可能なルータのMACアドレスが必要になる。しかし,IPネットワークで通信を行うアプリケーションでは,通信相手のIPアドレスやホスト名を明示的に指定することはあっても,MACアドレスを明示的に指定することはない。したがって,IPアドレスを手掛かりとして必要なMACアドレスを得るために,IPネットワークではARP(アドレス解決プロトコル)というプロトコルが用いられる。
〔MACアドレスに関する説明〕
イーサネットとIPをOSI基本参照モデルに当てはめた場合,イーサネットは物理層とデータリンク層に該当し,IPはネットワーク層に該当する。つまり,IPネットワークでの通信で取り扱うIPデータグラムを,下位層のイーサネットで送信するためには,IPデータグラムをaしたイーサネットフレームを送信する。このとき,イーサネットフレームの宛先を表すアドレスとして用いられるのがMACアドレスである。MACアドレスの長さは48ビットであり,表現可能なアドレスの個数はb個となる。
なお,ここではMACアドレスを表記する際,8ビットごとに2桁の16進数00~FFで表し,それぞれの間はコロンで区切る。例えば,00:53:00:12:C5:8A のように表す。
〔ARPの機能の説明〕
IPアドレスを基にMACアドレスを得るARPの機能は,問合せとして"ARP要求"を送信し,それに対する回答として"ARP応答"を受け取ることで実現される。
例えば,セグメント 10.1.1.0/24 において,ホストA(IPアドレス 10.1.1.10,MACアドレス 00:53:00:DA:C7:OB)がホストB(IPアドレス 10.1.1.20,MACアドレス 00:53:00:EC:17:27)宛てにIPデータグラムを送信しようとしたとき,ホストBのMACアドレスはARPによって,次のようにして得られる。
- ホストAは,IPアドレス 10.1.1.20 に対するARP要求を送信する。このとき,ARP要求はcされる。
- ARP要求を受け取ったホストBは,そのARP要求が自分のIPアドレスに対する 問合せであることを確認すると,自分のIPアドレス 10.1.1.20 とMACアドレス 00:53:00:EC:17:27 を格納したARP応答を送信する。同じARP要求を受け取ったその他のホストは,それが自分のIPアドレスに対する問合せではないので,無視する。
- ホストAは,ホストBが送信したARP応答を受け取ることによって,IPアドレス 10.1.1.20 に対応するMACアドレスが 00:53:00:EC:17:27 であることが分かる。
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設問1
本文中の 入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
a に関する解答群
- 宛先として格納
- 送信元として格納
- データ部に格納
- プリアンブルに格納
- ヘッダー部に格納
b に関する解答群
- 48
- 254
- 256
- 232
- 248
c に関する解答群
- TCPセグメントとして送信
- UDPデータグラムとして送信
- ブロードキャスト
- ホストBのMACアドレス宛てに送信
- ユニキャスト
解答選択欄
- a:
- b:
- c:
- a=ウ
- b=オ
- c=ウ
解説
〔aについて〕OSI基本参照モデルに基づくネットワーキングでは、送信時は上位層から下位層の順序で処理がなされ、その過程で各層のヘッダー情報が付加されていきます。IPデータグラムをデータリンク層で扱う際には宛先MACアドレス、送信元MACアドレスなどのヘッダー情報とエラーチェックのためのFCSが付加されます。この時IPデータグラムはイーサネットフレームのデータ部(ペイロード)としてカプセル化されます。したがって「ウ」が正解です。
∴a=ウ:データ部に格納
〔bについて〕
1つのビットで「0」と「1」の2種類を表現できます。2ビットでは「00」「01」「10」「11」の4種類、3ビットでは8種類を表現できるようにnビットで表現可能なビットパターン数は2nで表すことができます。したがって48ビットで表現できるビットパターン数は248になります。
∴b=オ:248
〔cについて〕
〔ARPの機能の説明〕(2)の「同じARP要求を受け取ったその他のホストは…」の記述より、ホストB以外の関係がないホストにもARP要求が届いていることが分かります。この事からARP要求は特定のホストだけに対して送信されるのではなく、同じネットワーク内の全てのホストにブロードキャストされることとわかります。したがって「ウ」が正解です。
∴c=ウ:ブロードキャスト
設問中にも説明されていますが、IPアドレスからMACアドレスを得る手順は以下の通りです。
- ARP要求フレームに送信元のIPアドレス・MACアドレスとMACアドレスを得たいノードのIPアドレスを格納して、Ethernetネットワークにブロードキャストする。
- ARP要求フレームを受け取った各ノードは、フレーム内の解決対象IPアドレスが自身のIPアドレスと一致すれば、ARP応答フレームに自身のMACアドレスを格納して送信元にユニキャストで送信する。
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設問2
次の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
図1は,ある企業の社内ネットワークの構成(一部)である。 このネットワークにおいて,ホストDが,幾つかの宛先にIPデータグラムを送信しようとするとき,ホストDはARPによって送信に必要なMACアドレスを得る。ここで,ホストDがIPデータグラムを送信しようとしたとき,宛先のMACアドレスはホストDにキャッシュされていないものとする。
ホストEに対してIPデータグラムを送信しようとするとき,ホストDはdのIPアドレスに対するARP要求を送信する。
ホストFに対してIPデータグラムを送信しようとするとき,ホストDはeのIPアドレスに対するARP要求を送信する。
図1は,ある企業の社内ネットワークの構成(一部)である。 このネットワークにおいて,ホストDが,幾つかの宛先にIPデータグラムを送信しようとするとき,ホストDはARPによって送信に必要なMACアドレスを得る。ここで,ホストDがIPデータグラムを送信しようとしたとき,宛先のMACアドレスはホストDにキャッシュされていないものとする。
ホストEに対してIPデータグラムを送信しようとするとき,ホストDはdのIPアドレスに対するARP要求を送信する。
ホストFに対してIPデータグラムを送信しようとするとき,ホストDはeのIPアドレスに対するARP要求を送信する。
d,e に関する解答群
- ブリッジC
- ホストD
- ホストE
- ホストF
- ルータG
- ルータH
解答選択欄
- d:
- e:
- d=ウ
- e=オ
解説
IPネットワーク上の全てのノードはルーティングテーブルという宛先の経路情報を格納したデータを保持していて、他のノードにデータを送信する際には、このルーティングテーブルを基に適切な宛先にデータを送出します。〔dについて〕
宛先であるホストEは、ホストDと同じLANセグメント(ルータを超えない範囲のネットワーク)に属しています。ホストDは自身のルーティングテーブルを参照し、ホストEが「同じLANセグメントに属していること」を確認します。同じLANセグメント内のノードに対してはイーサネットフレームをそのまま届けることができるため、ホストDはホストEに対するARP要求を送信して、ホストEのMACアドレスを得ます。その後宛先MACアドレスにホストEのMACアドレスをセットしたイーサネットフレームをホストE宛てに送信する流れになります。
したがってARP要求の目的IPアドレスはホストEのIPアドレスになります。
∴d=ウ:ホストE
〔eについて〕
宛先であるホストFは、ホストDとは別のLANセグメントに属しています。ホストDは自身のルーティングテーブルを参照し、ホストFが「同じLANセグメントに属していないこと」を確認します。別のLANセグメント内のノードに対してはイーサネットフレームをそのまま届けることができない※ため、デフォルトゲートウェイであるルータにデータの中継を依頼します。したがってホストDはルータGに対するARP要求を送信して、ルータGのMACアドレスを得た後、ルータG宛てにイーサネットフレームを送信することになります。
以上よりARP要求の目的IPアドレスはルータGのIPアドレスになります。
∴e=オ:ルータG
※ホストのルーティングテーブルには自セグメント内の経路情報だけが格納されています。別のネットワーク宛てのデータは全てルータ(デフォルトゲートウェイ)に中継を依頼します。
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