平成21年秋期試験午後問題 問3
問3 ネットワーク
データ送信とその符号化に関する次の記述を読んで,設問1~3に答えよ。
- 機器Aにはセンサが一つ接続されており,接続されたセンサから4バイト(1バイトは8ビット)の符号付整数で表される値(以下,測定値という)を1秒当たり100回取得する。
- 機器Aは,図に示す構造のパケットに測定値を格納し,ネットワークを経由して送信する。一つのパケットには,連続する複数の測定値を格納する。ネットワークはデータの送信に十分な帯域をもつ。
- パケットは,150バイトのヘッダーと測定値の列で構成される。ただし,パケットの最大長は1,478バイトとする。
- 一つのパケットに格納する測定値の個数はヘッダーに格納され,(3)の条件を満たす範囲で,任意に設定できる。
- 機器Aは,設定した個数分の測定値をセンサから取得後,遅滞なく送信する。
- 機器Aは,測定値の取得と送信を同時に行うのに十分な能力をもつ。
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設問1
1パケットに格納する測定値の個数と単位時間当たりの送信量(ヘッダーと測定値の総量)の関係の記述として正しい答えを,解答群の中から選べ。
解答群
- 1パケットで送信する測定値の個数が多いほど,単位時間当たりの送信量は多くなる。
- 1パケットで送信する測定値の個数が多いほど,単位時間当たりの送信量は少なくなる。
- 1パケットで送信する測定値の個数が変わっても,単位時間当たりの送信量は変わらない。
解答選択欄
- イ
解説
図「パケットの構造」を見ればわかるように、ひとつのパケットにはひとつのヘッダー情報が付加されます。ひとつのパケットに格納する測定値の個数を少なくすると、送信されるパケット数が多くなり、これに伴ってヘッダー情報のデータ量も多くなります。逆にひとつのパケットに多くの測定値を格納することにすると、送信されるパケット数は少なくなりヘッダー情報の個数も少なくなります。
この二つの場合を比較すると、一つのパケットに多くの測定値を格納した方がヘッダー情報のデータ量が減るので、全体として送信量が少なくなると言えます。
∴イ:1パケットで送信する測定値の個数が多いほど、単位時間当たりの送信量は少なくなる。
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設問2
次の記述中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
一つのパケットには,最大a秒分の測定値を格納できる。
また,測定値の送信に必要なネットワーク帯域 w は次の式で表せる,ただし,1パケットに格納する測定値の個数を n とする。
w=b×8×(150+c) ビット/秒
一つのパケットには,最大a秒分の測定値を格納できる。
また,測定値の送信に必要なネットワーク帯域 w は次の式で表せる,ただし,1パケットに格納する測定値の個数を n とする。
w=b×8×(150+c) ビット/秒
a に関する解答群
- 1.66
- 3.32
- 6.64
- 13.28
- 26.56
b,c に関する解答群
- 100
- 150
- 1,200
- 4n
- 32n
- 100n
- 1/n
- 100/n
- n
- n/100
解答選択欄
- a:
- b:
- c:
- a=イ
- b=ク
- c=エ
解説
〔aについて〕問題文中(3)の記述にて1パケットの最大長は1,478バイトとされています。このうちヘッダー情報のデータ部が150バイトですので、測定値を格納できるデータ部は、
1,478-150=1,328バイト
また、測定値は1秒間に100回取得され、それぞれが4バイトのデータなので、測定値を1秒間分格納するのに必要な容量は、
4バイト×100回=400バイト
となります。
後はこの二つの数値を使い、「1つのパケットに何秒間分の測定値を格納できるか」を計算すると、
1,328÷400=3.32秒間
となります。
∴a=イ:3.32
〔b,cについて〕
測定値の送信に必要なネットワーク帯域 w は、単位時間(秒)当たりの送信量と言い換えることができます。
1パケットのデータ量は、ヘッダー+測定値n個 です。測定値1つは4バイトなので、これを式に表わすと、
1パケットのデータ量=150+4n
また、現在は単位がバイトなのでビット単位に変換すると、
1パケットのデータ量=8×(150+4n)
と表すことができます。したがってcには、4nが入ることになります。
∴c=エ:4n
1つのパケットに格納する測定値は任意の個数に設定されるので、ビット/秒の単位に直すにはbに入る式によって一工夫する必要があります。
例えば、1パケットに格納する測定値を200個とすると、1パケットには2秒分のデータが格納されることになります。この場合、2秒に1回1パケットが送信されることになるので、1パケットのデータ量をmビットとすると、1秒間に平均(1/2)×mビットの送信量が生じることになります。
この1/2は、1パケットをそれに含まれる測定値の数(秒)で割り、データ量を1秒分に換算しているのです。
機器Aでは、1秒間に100回の測定がおこなわれるので、格納される個数によって
- n=200個を格納(2秒) → 100/200 → (1/2)×m
- n=250個を格納(2.5秒) → 100/250 → (2/5)×m
- n=300個を格納(3秒) → 100/350 → (1/3)×m
したがって、1パケットのデータ量から1秒毎の送信量を導くには、
100/n×1パケットのデータ量
と計算すれば良いことがわかります。
1パケットのデータ量は、上の方で「8×(150+4n)」とわかっているので、その前のbに、100/nを加えることによって、測定値の送信に必要なネットワーク帯域を正しく求めることができる式になります。
∴b=ク:100/n
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設問3
次の記述中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
測定値の時刻による変動は小さいことが多く,例えば,全体の70%の測定値は一つ前の測定値との差が,-128~127(-27~27-1)の範囲にあることが分かった。
そこで,測定値を次の方法で圧縮して送ることにする。
測定値の時刻による変動は小さいことが多く,例えば,全体の70%の測定値は一つ前の測定値との差が,-128~127(-27~27-1)の範囲にあることが分かった。
そこで,測定値を次の方法で圧縮して送ることにする。
- パケットの先頭に格納する測定値は,これまでどおり格納する。
- 2番目以降に格納する測定値は,一つ前の測定値との差を,表の"圧縮符号のビット長"で示す長さ(差の値によって異なる)に符号化し,パケットにビット単位で詰めて格納する。例えば,2番目以降に格納する測定値のビット数は,一つ前の測定値との差が10ならば9ビットに,200ならば18ビットになる。
なお,圧縮後の測定値の列のビット長は,ヘッダーに設定する。 一つ前の測定値との差の分布は,表の"出現確率"のとおりであるとすると,2番目以降の測定値の圧縮符号のビット長の期待値は,測定値一つ当たりdビットである。
d に関する解答群
- 9.0
- 12.23
- 15.575
- 22.25
- 32.0
解答選択欄
- d:
- d=イ
解説
表「差の符号化方式と出現確率」の中の、"差の範囲"ごとに"圧縮符号のビット長"と"出現確率"をかけ合わせて期待値を求めます。(9×0.7)+(18×0.25)+(27×0.04)+(35×0.01)
=6.3+4.5+1.08+0.35
=12.23
したがってこの圧縮方式を用いた場合の2番目以降の圧縮符号の期待値は、12.23ビットであることがわかります。
∴d=イ:12.23
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