平成27年春期試験午後問題 問7
問7 システム戦略
システム開発の投資評価に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。
T社では,営業支援システムの開発プロジェクトを検討している。開発方式が異なるA案,B案の二つの案があり,それぞれの投資評価を行うことにした。二つの案の投資対効果の概要を表1に,キャッシュフローの年度別の推移を表2に示す。
現時点を平成27年度とし,営業支援システムは平成28年度から運用され,5年間にわたって効果が得られる。また,投資額及び効果額の発生は年度末とする。
T社では,営業支援システムの開発プロジェクトを検討している。開発方式が異なるA案,B案の二つの案があり,それぞれの投資評価を行うことにした。二つの案の投資対効果の概要を表1に,キャッシュフローの年度別の推移を表2に示す。
現時点を平成27年度とし,営業支援システムは平成28年度から運用され,5年間にわたって効果が得られる。また,投資額及び効果額の発生は年度末とする。
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設問1
システム開発の投資評価に関する次の記述中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。
従来採用している投資評価方法は,キャッシュフローの累計額がプラスになるまでの期間(以下,投資回収期間という)を求め,その期間の長さによって投資の判断を行う方法である。
この方法では,A案の投資回収期間は4年,B案の投資回収期間はa年であり,bことになる。
従来採用している投資評価方法は,キャッシュフローの累計額がプラスになるまでの期間(以下,投資回収期間という)を求め,その期間の長さによって投資の判断を行う方法である。
この方法では,A案の投資回収期間は4年,B案の投資回収期間はa年であり,bことになる。
a に関する解答群
- 3
- 4
- 5
- 6
b に関する解答群
- A案よりもB案の方が回収期間は長く,A案を採用する
- A案よりもB案の方が回収期間は長く,B案を採用する
- A案よりもB案の方が回収期間は短く,A案を採用する
- A案よりもB案の方が回収期間は短く,B案を採用する
- 投資回収期間はA案もB案も同じなので,この方法だけでは判断できない
解答選択欄
- a:
- b:
- a=ウ
- b=ア
解説
〔aについて〕投資回収期間とは「キャッシュフローの累計額がプラスになるまでの期間」なので、B案のキャッシュフローの累計を足していき、プラスに転じるまで(初期費用10,000万円を回収するまで)に何年を要するかを求めます。
- [1年目] -10,000+3,100=-6,900
- [2年目] -6,900+3100=-3,800
- [3年目] -3,800-900=-4,700
- [4年目] -4,700+4,200=-500
- [5年目] -500+4,200=3700
a=ウ:5
〔bについて〕
投資回収期間は、A案4年、B案5年です。投資回収期間に基づいて投資判断を行う方法では、投資回収期間が短い方が効果的と判断されるため、この2つではA案が採用されます。
b=ア
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設問2
システム開発の投資評価に関する次の記述中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。
T社の企画課は,システム投資のリスクを低減するために,いきなり開発の投資判断を行うのではなく,平成27年度に,初期開発費とは別に100万円を投資してシステムの要求分析を行って投資評価の精度を高めることにした。
また,投資評価方法に正味現在価値(以下,NPVという)を用いることにし,NPVが大きい案を採用することにした。ここで,
NPV=キャッシュフローの現在価値の合計値
とし,千円の位を四捨五入して,万円単位まで求めることにする。
評価に当たり,現在価値の評価期間は平成32年度までの5年間とし,割引率は10%とする。
要求分析の結果を反映させる前のシステム投資の評価は,表3に示すキャッシュフローの 現在価値から,A案のNPVが818万円,B案のNPVがc万円であり,A案を採用することになる。
キャッシュフローの現在価値は,n年後のキャッシュフローが C,割引率が r のとき,C×{1/(1+r)n} である。
計算には,次の値を用いる。 要求分析の結果,A案の初期開発費は14,500万円,B案の追加開発費は3,100万円となることが分かった。
要求分析の後,この結果を用いてシステム投資の評価をやり直した結果,A案のNPVはd万円,B案のNPVは754万円となり,eことになる。
T社の企画課は,システム投資のリスクを低減するために,いきなり開発の投資判断を行うのではなく,平成27年度に,初期開発費とは別に100万円を投資してシステムの要求分析を行って投資評価の精度を高めることにした。
また,投資評価方法に正味現在価値(以下,NPVという)を用いることにし,NPVが大きい案を採用することにした。ここで,
NPV=キャッシュフローの現在価値の合計値
とし,千円の位を四捨五入して,万円単位まで求めることにする。
評価に当たり,現在価値の評価期間は平成32年度までの5年間とし,割引率は10%とする。
要求分析の結果を反映させる前のシステム投資の評価は,表3に示すキャッシュフローの 現在価値から,A案のNPVが818万円,B案のNPVがc万円であり,A案を採用することになる。
キャッシュフローの現在価値は,n年後のキャッシュフローが C,割引率が r のとき,C×{1/(1+r)n} である。
計算には,次の値を用いる。 要求分析の結果,A案の初期開発費は14,500万円,B案の追加開発費は3,100万円となることが分かった。
要求分析の後,この結果を用いてシステム投資の評価をやり直した結果,A案のNPVはd万円,B案のNPVは754万円となり,eことになる。
c,d に関する解答群
- 79
- 754
- 1,318
- 1,418
e に関する解答群
- A案を採用する
- A案とB案のどちらを採用しても同じ
- B案を採用する
解答選択欄
- c:
- d:
- e:
- c=ア
- d=ウ
- e=ア
解説
〔cについて〕B案のNPVを算出するには、表3の網かけ部分を計算によって求めなくてはなりません。
n年後のキャッシュフローの現在価値は、キャッシュフローに{1/(1+r)n}を乗じることで計算します。(千の位を四捨五入)
- [2年後] 3,100×0.83=2,573
- [3年後] -900×0.75=-675
-10,100+2,821+2,573-675+2,856+2,604=79(万円)
c=ア:79
〔dについて〕
先程と同様にA案の2,3年後のキャッシュフローの現在価値を算出します。
- [2年後] 4,200×0.83=3,486
- [3年後] 4,200×0.75=3,150
-14,600+3,822+3,486+3,150+2,856+2,604=1,318(万円)
d=ウ:1,318
〔eについて〕
要求分析の結果を反映した場合のそれぞれのNPVは、A案1,318万円、B案754万円なので、NPVが大きいA案が採用されます。
e=ア:A案を採用する
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