平成29年秋期試験午後問題 問6
問6 サービスマネジメント
情報システム運用サービスの予算策定と提示価格の計算に関する次の記述を読んで,設問1~3に答えよ。
A社は,顧客であるB社に対して,情報システムの運用サービス(以下,B社サービスという)を提供している。A社の運用サービス部では,B社サービスの提供に必要な次年度の費用を見積もり,見積もった費用(以下,予算という)を営業部に提出している。毎年度,営業部では,運用サービス部で作成した予算を基に,所定の利益率が維持できるようにB社サービスの提示価格を算出してB社と交渉している。近年は,B社から価格を下げるよう要求されることが多くなってきている。
B社サービスに関する2015~2017年度の3年度分の予算と実際に掛かった費用(以下,実績という)は,表1のとおりである。ただし,2017年度の実績は見込みであるが,ここでは実績と呼ぶ。
A社は,顧客であるB社に対して,情報システムの運用サービス(以下,B社サービスという)を提供している。A社の運用サービス部では,B社サービスの提供に必要な次年度の費用を見積もり,見積もった費用(以下,予算という)を営業部に提出している。毎年度,営業部では,運用サービス部で作成した予算を基に,所定の利益率が維持できるようにB社サービスの提示価格を算出してB社と交渉している。近年は,B社から価格を下げるよう要求されることが多くなってきている。
B社サービスに関する2015~2017年度の3年度分の予算と実際に掛かった費用(以下,実績という)は,表1のとおりである。ただし,2017年度の実績は見込みであるが,ここでは実績と呼ぶ。
広告
設問1
運用サービス部では,B社サービスに関する2018年度の予算を作成するに当たって,表1を用いて2015~2017年度の3年度分の予算と実績に関する傾向を分析した。正しい答えを,解答群の中から選べ。
解答群
- 人件費の実績は,3年度とも,各年度の実績の合計の過半を占めている。
- サーバ費の実績は,2年度連続で上がっている。
- PC費の実績は,2016年度の前年度に対する増分よりも,2017年度の前年度に対する増分の方が小さい。
- ネットワーク費の予算は2年度連続で,下がっているが,ネットワーク費の実績は2年度連続で,上がっている。
- その他経費は,各費目中で,予算も実績も2015年度は2番目に大きい費目であったが,2017年度は3番目に大きい費目となっている。
- 各費目の実績の合計は,3年度とも,各費目の予算の合計を上回っている。
解答選択欄
- カ
解説
- 2015年度と2017年度は50%以上ですが、2016年度は50%未満なので誤りです。
- 2016年度は前年より上がっていますが、2017年度では前年より下がっているので誤りです。
- 2016年度の増分は0、2017年度の増分は140千円なので、2017年度の方が大きくなっています。
- 2016年度の予算は前年よりも上がっているので誤りです。
- 2015年度の予算・実績は人件費とサーバ費に次ぐ3番目の大きさなので誤りです。
- 正しい。全ての年度で予算より実績のほうが大きくなっています。
広告
設問2
B社サービスに関する2018年度の予算についての次の記述中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
運用サービス部では,B社サービスに関する2018年度の予算を次のとおり作成した。
運用サービス部では,B社サービスに関する2018年度の予算を次のとおり作成した。
- 人件費の予算は,2016年度の人件費の実績と同じとする。
- サーバ費の予算は,2015~2017年度のサーバ費の実績の平均とする。
- PC費の予算は,2017年度のPC費の実績と同じとする。
- ネットワーク費の予算は,ネットワーク費の実績を用いて,2016年度に対する2017年度の増分を2017年度の実績に加えたものとする。
- その他経費の予算は,2015~2017年度のその他経費の実績の平均とする。
a に関する解答群
- 220
- 230
- 240
- 250
- 260
- 270
b に関する解答群
- サーバ費の割合とその他経費の割合が上がって,それら以外の費目の割合が下がっている
- サーバ費の割合とその他経費の割合が下がって,それら以外の費目の割合が上がっている
- 人件費の割合が上がって,それ以外の費目の割合が下がっている
- 人件費の割合が下がって,それ以外の費目の割合が上がっている
- 人件費の割合とサーバ費の割合が上がって,それら以外の費目の割合が下がっている
- 人件費の割合とサーバ費の割合が下がって,それら以外の費目の割合が上がっている
解答選択欄
- a:
- b:
- a=オ
- b=エ
解説
〔aについて〕ネットワーク費の予算は、ネットワーク費の実績を用いて、2016年度に対する2017年度の増分を2017年度の実績に加えたものです。
ネットワーク費の実績は、2016年度=240千円、2017年度=250千円なので、2016年度に対する2017年度の増分は10千円です。したがって2018年度のネットワークの予算は、2017年度の実績である250千円に10千円を加えた260千円になります。
∴a=オ:260
〔bについて〕
表2中で網掛けになっている人件費とPCを埋めて2017年度の実績と比較します。
[2018年度:人件費予算]
2016年度の実績と同じなので3,000千円です。
[2018年度:PC費予算]
2017年度の実績と同じなので640千円です。
解答群の記述では各費目の全体に占める割合が問われているので、それぞれの構成比を加えた以下の比較表に基づいて各記述の正誤を判断します。
- PC費とネットワーク費の割合も上がっているため誤りです。
- サーバ費とその他経費の割合は上がっているため誤りです。
- 人件費の割合は下がっているため誤りです。
- 正しい。人件費の割合は下がっていて、それ以外の費目の割合はすべて上がっています。
- 人件費の割合は下がっているため誤りです。
- サーバ費の割合は上がっているため誤りです。
広告
設問3
2018年度の提示価格に関する次の記述中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。
営業部では,運用サービス部が作成した予算を基に,利益率が10%となるようにB社サービスの提示価格を算出した。2018年度の提示価格は,c千円となった。ここで,利益率は,提示価格から予算を引いた額を提示価格で割った値であり,100を乗じて%表示する。
営業部がB社にB社サービスの提示価格を提案したところ,提示価格から10%低い価格(以下,要求価格という)を要求された。
運用サービス部と営業部で検討した結果,サービスレベルの変更についてB社と合意できれば,その他経費を10%,人件費を5%削減できることが分かった。この場合,2018年度の予算の合計はd削減となり,要求価格と同額を提示価格とすると,利益率はe。
また,作業の一部を自動化することによって,人件費を先の5%と合わせて15%削減できることが分かった。ただし,この場合には,サーバ費については5%上がる見込みである。運用サービス部では,先のその他経費の10%削減と合わせてB社サービスの2018年度の予算を再度作成した。このとき,提示価格を要求価格と同額にすると,利益率はf%になる。ここで,%表示する値は,利益率に100を乗じて小数第2位で四捨五入したものである。
営業部では,運用サービス部が作成した予算を基に,利益率が10%となるようにB社サービスの提示価格を算出した。2018年度の提示価格は,c千円となった。ここで,利益率は,提示価格から予算を引いた額を提示価格で割った値であり,100を乗じて%表示する。
営業部がB社にB社サービスの提示価格を提案したところ,提示価格から10%低い価格(以下,要求価格という)を要求された。
運用サービス部と営業部で検討した結果,サービスレベルの変更についてB社と合意できれば,その他経費を10%,人件費を5%削減できることが分かった。この場合,2018年度の予算の合計はd削減となり,要求価格と同額を提示価格とすると,利益率はe。
また,作業の一部を自動化することによって,人件費を先の5%と合わせて15%削減できることが分かった。ただし,この場合には,サーバ費については5%上がる見込みである。運用サービス部では,先のその他経費の10%削減と合わせてB社サービスの2018年度の予算を再度作成した。このとき,提示価格を要求価格と同額にすると,利益率はf%になる。ここで,%表示する値は,利益率に100を乗じて小数第2位で四捨五入したものである。
c に関する解答群
- 5,670
- 6,300
- 6,930
- 7,000
d に関する解答群
- 10%未満の
- 10%の
- 10%よりも大きな
e に関する解答群
- 上がる
- 変わらない
- 下がるがゼロ以下にはならない
- 下がってゼロになる
- 下がってマイナスになる
f に関する解答群
- 5.5
- 6.1
- 7.1
- 7.9
- 8.0
- 8.9
解答選択欄
- c:
- d:
- e:
- f:
- c=エ
- d=ア
- e=ウ
- f=エ
解説
〔cについて〕提示価格は予算に利益(提示価格の10%)を上乗せした額ですから、提示価格と利益・予算の関係は以下の式で表せます。
提示価格=6,300+提示価格×0.1
この式を解いて提示価格を求めます。提示価格をNとおくと、
N-N×0.1=6,300
N-0.1N=6,300
0.9N=6,300
N=7,000(千円)
∴c=エ:7,000
〔dについて〕
[人件費の削減額:5%]
3,000×0.05=150(千円)
[その他経費の削減額:10%]
1,100×0.1=110(千円)
削減額は2つを合わせた260千円です。2018年度の予算合計は6,300千円ですから、予算合計に対する削減額の割合は、
260÷6,300≒4.1%
したがってdには「10%未満の」が入ります。
∴d=ア:10%未満の
〔eについて〕
B社から要求された価格は提示価格よりも10%低い価格です。提示価格は7,000千円だったのでB社の要求価格は、
7,000×0.9=6,300(千円)
そして260千円の削減を行った場合の予算額は、
6,300-260=6,040(千円)
この条件でサービスを販売した場合の利益および利益率は以下のようになります。
利益=6,300-6,040=260(千円)
利益率=260÷6,300≒4.1%
最初に設定した利益率10%からは下がりますがプラスの値です。
∴e=ウ:下がるがゼロ以下にはならない
〔fについて〕
[人件費の削減額:15%]
3,000×0.15=450(千円)
[その他経費の削減額:10%]
1,100×0.1=110(千円)
[サーバ費の増大額:5%]
1,300×0.05=65(千円)
削減額の合計は560千円、増大額は65千円なので予算合計は、
6,300-560+65=5,805(千円)
この場合の利益および利益率は以下のようになります。
利益=6,300-5,805=495(千円)
利益率=495÷6,300=7.8
∴f=エ:7.9
広告
広告