平成29年春期試験午後問題 問6
問6 プロジェクトマネジメント
プロジェクトの要員計画に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。
A社では,社内で使用する新システムの構築に関するプロジェクトの検討を進めてきた。プロジェクトは,システム開発が大規模になるので,要員の確保と納期遵守の観点から,一期開発と二期開発から成る2段階の開発とした。開発チームは,A社の要員と,協力会社B社の要員で編成することにした。
〔プロジェクトの説明〕
A社では,社内で使用する新システムの構築に関するプロジェクトの検討を進めてきた。プロジェクトは,システム開発が大規模になるので,要員の確保と納期遵守の観点から,一期開発と二期開発から成る2段階の開発とした。開発チームは,A社の要員と,協力会社B社の要員で編成することにした。
〔プロジェクトの説明〕
- 開発規模は,一期開発及び二期開発ともに同一である。
- 開発は,ウォーターフォールモデルに基づいて,外部設計,内部設計,プログラム開発(単体テストを含む),結合テスト及び総合テストの五つの工程に分ける。
- 一期開発は2017年4月に開始する。二期開発は,一期開発のプログラム開発の開始月に開始する。
- 各工程での月別要員計画の前提条件は,次のとおりである。
- 業務ノウハウ蓄積の観点から,外部設計工程の要員には,A社の要員を80%以上割り当てる。
- ①の条件を満たす最少の人数をA社の要員数とし,全期間を通して一定の人数とする。すなわち,A社の要員には,各月とも,全員が必ず担当する工程があるものとする。
- プログラム開発工程には,一期開発及び二期開発ともに,B社の要員だけを割り当てる。
- プログラム開発工程を除き,各月の必要要員については,まずA社の要員を割り当て,A社の要員だけでは不足する場合に,B社の要員を割り当てる。
- 一期開発と二期開発の作業が重なる期間については,A社の要員を,一期開発に優先して割り当てる。
- 一人が一期開発と二期開発の作業を同一月に行うことはない。
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設問1
要員数に関する次の記述中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選ベ。
一期開発及び二期開発における各工程の工数及び配分月数を,表1のとおりに設定した。ここで,配分月数とは,あらかじめ各工程に配分した開発期間(月数)である。二期開発は,一期開発における成果が活用できることから,一期開発よりも,工数を削減することを目標とした。 一期開発,二期開発それぞれにおける各工程の各月の要員数は次式で算出する。ここで,各月の要員数は,小数点以下を切り上げた整数値とする。 A社の要員数は,〔プロジェクトの説明〕(4)の前提条件に基づきa人になる。一期開発の外部設計工程では,B社の要員数は,各月ともにb人になる。一期開発及び二期開発の全工程について,要員数を求めた結果,各月でB社の要員数がばらついていることが分かった。そこで,各月のB社の要員数をできるだけ平準化するために,プログラム開発工程の配分月数を調整することにした。ここで,納期などの制約から,プログラム開発工程で許容される配分月数は,3~5である。
プログラム開発工程の配分月数を一期開発及び二期開発ともに4にする開発スケジュール案を表2に示す。この案の場合,2018年cが,〔プロジェクトの説明〕(4)の条件②を満たせないことが分かった。これは,プログラム開発工程の配分月数を,"d"又は"一期開発を5に,二期開発を4にする"ことで解消できる。
一期開発及び二期開発における各工程の工数及び配分月数を,表1のとおりに設定した。ここで,配分月数とは,あらかじめ各工程に配分した開発期間(月数)である。二期開発は,一期開発における成果が活用できることから,一期開発よりも,工数を削減することを目標とした。 一期開発,二期開発それぞれにおける各工程の各月の要員数は次式で算出する。ここで,各月の要員数は,小数点以下を切り上げた整数値とする。 A社の要員数は,〔プロジェクトの説明〕(4)の前提条件に基づきa人になる。一期開発の外部設計工程では,B社の要員数は,各月ともにb人になる。一期開発及び二期開発の全工程について,要員数を求めた結果,各月でB社の要員数がばらついていることが分かった。そこで,各月のB社の要員数をできるだけ平準化するために,プログラム開発工程の配分月数を調整することにした。ここで,納期などの制約から,プログラム開発工程で許容される配分月数は,3~5である。
プログラム開発工程の配分月数を一期開発及び二期開発ともに4にする開発スケジュール案を表2に示す。この案の場合,2018年cが,〔プロジェクトの説明〕(4)の条件②を満たせないことが分かった。これは,プログラム開発工程の配分月数を,"d"又は"一期開発を5に,二期開発を4にする"ことで解消できる。
a,b に関する解答群
- 2
- 3
- 11
- 12
- 14
- 42
c に関する解答群
- 5月
- 6月
- 7月
- 8月
d に関する解答群
- 一期開発を3に,二期開発を4にする
- 一期開発を3に,二期開発を5にする
- 一期開発を4に,二期開発を3にする
- 一期開発を4に,二期開発を5にする
解答選択欄
- a:
- b:
- c:
- d:
- a=エ
- b=ア
- c=ウ
- d=ウ
解説
〔aについて〕A社の要員数は全期間を通じて一定で、その人数は外部設計に割り当てられるA社の要員数によって決まります。また前提条件①により、外部設計工程では全要員中80%以上がA社の要員であることが求められます。
まず設問で示されている式に従って各月の要員数を計算します。第1期の外部設計の工数は42人月、配分月数は3カ月なので、
42÷3=14(人)
各月の要員数は14人とわかります。さらに14人の80%の人数を求めます。
14×0.8=11.2(人)
条件を満たす最少人数は小数点以下を切り上げた12人になります。
∴a=エ:12
〔bについて〕
上で求めたように、一次開発の外部設計工程におけるA社の要員数は12人です。一次開発の外部設計工程では各月14人の要員が必要なので、不足する2名をB社の要員で補うことになります。
∴b=ア:2
〔cについて〕
問題文の前後関係から条件②を満たしていない月が入るとわかります。条件②では、全期間を通じて各月のA社の要員数が一定であることを取り決めています。A社の要員数に注目して表2を見ると、二次開発のプログラム開発工程のみが実施される2018年7月にはA社の要員数が0名になっています。つまりこの月が条件②を満たしていません。∴c=ウ:7月
〔dについて〕
プログラム開発はB社の要員だけで行われるので、プログラム開発工程のみが実施される月にはA社の要員数が0名になってしまいます。これを避けるようなスケジューリングでなければなりません。
- 一次開発全体が2018年5月に完了することになります。2018年6~7月の2カ月に渡り要員数が0名になってしまうので誤りです。
- 一次開発全体が2018年5月に完了することになり、二次開発のプログラム工程の完了が2018年8月になります。2018年6月~8月の3カ月に渡り要員数が0名になってしまので誤りです。
- 正しい。二次開発のプログラム工程の完了が2018年7月になります。これによりA社の要員数が0名になる月がなくなります。
- 二次開発のプログラム工程の完了が2018年8月になります。2018年7月~8月の2カ月に渡り要員数が0名になってしまので誤りです。
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設問2
要員計画に関する次の記述中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。
プログラム開発工程の配分月数を,"一期開発を5に,二期開発を4にする"案を選択した。その上で,更に要員計画策定中にユーザ部門から二期開発の追加要件を受けて見直した開発スケジュール案を表3に示す。 各月のB社の総要員数(B社の一期開発及び二期開発の要員数の合計)は,ピーク時の2018年4月に他の月よりも突出する。ピーク時のB社の総要員数を減らし,3月から5月の3か月間の各月のB社の総要員数を等しくしたい。そのためには,この3か月間に実施する各工程の月ごとの要員数は一定ではなくなるが,4月の一期開発の要員のうちe人を3月に移動し,二期開発の要員のうちf人を5月に移動すればよい。
プログラム開発工程の配分月数を,"一期開発を5に,二期開発を4にする"案を選択した。その上で,更に要員計画策定中にユーザ部門から二期開発の追加要件を受けて見直した開発スケジュール案を表3に示す。 各月のB社の総要員数(B社の一期開発及び二期開発の要員数の合計)は,ピーク時の2018年4月に他の月よりも突出する。ピーク時のB社の総要員数を減らし,3月から5月の3か月間の各月のB社の総要員数を等しくしたい。そのためには,この3か月間に実施する各工程の月ごとの要員数は一定ではなくなるが,4月の一期開発の要員のうちe人を3月に移動し,二期開発の要員のうちf人を5月に移動すればよい。
e,f に関する解答群
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
解答選択欄
- e:
- f:
- e=ウ
- f=オ
解説
2018年3月~5月におけるB社の要員数は次の通りです。- [3月] 15+22=37(人)
- [4月] 15+33=48(人)
- [5月] 2+33=35(人)
(37+48+35)÷3=40(人)
そして各月の要員数をこの平均値に揃えます。各月40人にするためには、4月から3月に3名、4月から5月に5名移動すればよいことがわかります。
∴e=ウ:3
f=オ:5
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