平成31年春期試験午後問題 問7
問7 システム戦略
製造業における情報システムの統合に関する次の記述を読んで,設問1~3に答えよ。
T社は,大手家電製品メーカーであり,製品の設計及び需要予測は事業部ごとに行っている。各製造工場は,一つ以上の事業部の製品を製造している。
2018年度に各製造工場が製造した製品の事業部別取扱高を,表1に示す。 T社は,事業部と製造工場ごとに情報システムを整備してきた経緯があり,設計システムには三つ,需要予測システムには三つ,調達システムには四つのシステムがある。各事業部が利用している設計システム及び需要予測システムを表2に,各製造工場が利用している調達システムを表3に示す。システムの名称が同一の場合は,事業部又は製造工場が同じシステムを共用していることを意味している。例えば,P事業部とS事業部は,設計システムとしてAシステムを共用している。 T社では情報システムの運用保守コストの削減が求められており,本社の情報システム部門の主導によってプロジェクトを立ち上げ,設計システム,需要予測システム及び調達システムのそれぞれについて,複数のシステムを統合することとした。
T社は,大手家電製品メーカーであり,製品の設計及び需要予測は事業部ごとに行っている。各製造工場は,一つ以上の事業部の製品を製造している。
2018年度に各製造工場が製造した製品の事業部別取扱高を,表1に示す。 T社は,事業部と製造工場ごとに情報システムを整備してきた経緯があり,設計システムには三つ,需要予測システムには三つ,調達システムには四つのシステムがある。各事業部が利用している設計システム及び需要予測システムを表2に,各製造工場が利用している調達システムを表3に示す。システムの名称が同一の場合は,事業部又は製造工場が同じシステムを共用していることを意味している。例えば,P事業部とS事業部は,設計システムとしてAシステムを共用している。 T社では情報システムの運用保守コストの削減が求められており,本社の情報システム部門の主導によってプロジェクトを立ち上げ,設計システム,需要予測システム及び調達システムのそれぞれについて,複数のシステムを統合することとした。
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設問1
データの受渡し(以下,データ連携という)に関する次の記述中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
調達システムは,製品の製造に必要な部品の在庫管理と発注処理を行っている。各製造工場が利用している調達システムは,その工場が製造する製品を担当している事業部が利用している設計システム及び需要予測システムとデータ連携している。設計システムと需要予測システムとの間のデータ連携はない。
表1~3によれば,最も多くの調達システムとデータ連携している設計システムはaシステムであり,そのデータ連携先の調達システム数はbである。また,調達システムの中で,データ連携している設計システム数と需要予測システム数の合計が最も多いのは,cシステムとdシステムである。
調達システムは,製品の製造に必要な部品の在庫管理と発注処理を行っている。各製造工場が利用している調達システムは,その工場が製造する製品を担当している事業部が利用している設計システム及び需要予測システムとデータ連携している。設計システムと需要予測システムとの間のデータ連携はない。
表1~3によれば,最も多くの調達システムとデータ連携している設計システムはaシステムであり,そのデータ連携先の調達システム数はbである。また,調達システムの中で,データ連携している設計システム数と需要予測システム数の合計が最も多いのは,cシステムとdシステムである。
a に関する解答群
- A
- B
- C
b に関する解答群
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
c,d に関する解答群
- V
- W
- X
- Y
解答選択欄
- a:
- b:
- c:
- d:
- a=ア
- b=イ
- c=ア
- d=ウ
解説
〔a,bについて〕調達システムごとに連携する設計システムを考えていきます。
[Vシステム]
Vシステムは、H製造工場のみで使用されています。H製造工場の製品を担当するのはQ事業部とS事業部なので、Vシステムは、Q事業部が利用する"Bシステム"及びS事業部が利用する"Aシステム"と連携しています。
[Wシステム]
Wシステムは、I製造工場のみで使用されています。I製造工場の製品を担当するのはP事業部なので、Wシステムは、P事業部が利用する"Aシステム"と連携しています。
[Xシステム]
Xシステムは、J・L・Mの3つの製造工場で使用されています。3つの製造の製品を担当するのはQ事業部とS事業部なので、Xシステムは、Q事業部が利用する"Bシステム"及びS事業部が利用する"Aシステム"と連携しています。
[Yシステム]
Yシステムは、K製造工場のみで使用されています。K製造工場の製品を担当するのはR事業部なので、Yシステムは、R事業部が利用する"Cシステム"と連携しています。
以下は、調達システムと設計システムの連携をまとめた表です。したがって、最も多くの調達システムと連携している設計システムはAシステム、連携数は3になります。
∴a=ア:A
b=イ:3
〔c,dについて〕
需要予測システムについても先程と同様に、連携の有無を確認していきます。
[Vシステム]
Vシステムを使用するH製造工場の製品を担当するのはQ事業部とS事業部なので、Vシステムは、Q事業部が利用する"Fシステム"及びS事業部が利用する"Gシステム"と連携しています。
[Wシステム]
Wシステムを使用するI製造工場の製品を担当するのはP事業部なので、Wシステムは、P事業部が利用する"Eシステム"と連携しています。
[Xシステム]
Xシステムを使用するJ・L・Mの3つの製造工場の製品を担当するのはQ事業部とS事業部なので、Xシステムは、Q事業部が利用する"Fシステム"及びS事業部が利用する"Gシステム"と連携しています。
[Yシステム]
Yシステムは、K製造工場のみで使用されています。K製造工場の製品を担当するのはR事業部なので、Yシステムは、R事業部が利用する"Fシステム"と連携しています。
以下は、調達システムと設計システムの連携をまとめた表です。各調達システムの連携数を合計すると、
- Vシステム … 2+2=4
- Wシステム … 1+1=2
- Xシステム … 2+2=4
- Yシステム … 1+1=2
∴c=ア:V
d=ウ:X
(順不同)
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設問2
情報システムの運用保守コストに関する次の記述中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
本社の情報システム部門による調査の結果,情報システムの運用保守コストとして,設計システムのそれぞれには年間2億円,需要予測システムのそれぞれには年間3億円,調達システムのそれぞれには年間1億円が掛かっていることが分かった。
それらに加えて,調達システムのそれぞれには,各製造工場が製造する製品の年間の取扱高の0.1%分の運用保守コストが掛かっていることが分かった。
また,システム間のデータ連携のための経路(以下,データ連携経路という)の運用保守コストとして,データ連携経路一つ当たり年間0.1億円が掛かっていることが分かった。今後においても,今までデータ連携していないシステム間に新たなデータ連携経路を一つ作成した場合,データ連携経路の運用保守コストは年間0.1億円増加する。
2018年度のT社の設計システム,需要予測システム,調達システム及びデータ連携経路の年間の運用保守コストの合計はe億円であった。設計システム,需要予測システム及び調達システムを全社でそれぞれ一つに統合できれば,これらのシステム及びデータ連携経路の年間の運用保守コストの合計はf億円となる。ここで,取扱高などの前提条件は変わらないものとする。また,一つのシステムを複数の事業部や製造工場で共用する場合でも,共用するシステムの運用保守コストは一つの事業部や製造工場が単独で利用する場合と変わらないものとする。
本社の情報システム部門による調査の結果,情報システムの運用保守コストとして,設計システムのそれぞれには年間2億円,需要予測システムのそれぞれには年間3億円,調達システムのそれぞれには年間1億円が掛かっていることが分かった。
それらに加えて,調達システムのそれぞれには,各製造工場が製造する製品の年間の取扱高の0.1%分の運用保守コストが掛かっていることが分かった。
また,システム間のデータ連携のための経路(以下,データ連携経路という)の運用保守コストとして,データ連携経路一つ当たり年間0.1億円が掛かっていることが分かった。今後においても,今までデータ連携していないシステム間に新たなデータ連携経路を一つ作成した場合,データ連携経路の運用保守コストは年間0.1億円増加する。
2018年度のT社の設計システム,需要予測システム,調達システム及びデータ連携経路の年間の運用保守コストの合計はe億円であった。設計システム,需要予測システム及び調達システムを全社でそれぞれ一つに統合できれば,これらのシステム及びデータ連携経路の年間の運用保守コストの合計はf億円となる。ここで,取扱高などの前提条件は変わらないものとする。また,一つのシステムを複数の事業部や製造工場で共用する場合でも,共用するシステムの運用保守コストは一つの事業部や製造工場が単独で利用する場合と変わらないものとする。
e に関する解答群
- 19.0
- 20.2
- 21.7
- 25.2
f に関する解答群
- 6.0
- 6.2
- 7.7
- 9.7
解答選択欄
- e:
- f:
- e=ウ
- f=ウ
解説
〔eについて〕システム本体とデータ連携経路に分けてコスト計算をします。
[システム本体]
T社で稼働しているのは、設計システム3つ、需要予測システム3つ、調達システム4つです。各システムに要する年間運用保守コストは、設計システム2億円、需要予測システム3億円、調達システム1億円なので、
2億円×3+3億円×3+1億円×4=19億円
これに加えて、調達システムには各製造工場で製造する製品の年間取扱高の0.1%のコストが掛かります。図1より、全事業部を合わせた年間取扱高は1,500億円とわかるので、調達システムの追加コストは、
1,500億円×0.1%=1.5億円
[データ連携経路]
設問1で整理したように、調達システムと設計システムの間、及び調達システムと需要予測システムの間のデータ連携経路は合計で12つです。データ連携経路1つ当たりのコストは年間0.1億円ですので、
0.1億円×12=1.2億円
2018年度の運用保守コストは、これら3つのコストを合計して、
19億円+1.5億円+1.2億円=21.7億円
したがって「ウ」が正解です。
∴e=ウ:21.7億円
〔fについて〕
各システムを1つずつにすると、システム及びデータ連携経路は以下のように単純化されたものになります。[システム本体]
各システムが1台ずつなので、
2億円+3億円+1億円=6億円
各製造工場で製造する製品の年間取扱高は変わらないので、調達システムに追加されるコストは統合前と変わらず、
1,500億円×0.1%=1.5億円
[データ連携経路]
データ連携経路は合計で2つです。データ連携経路1つ当たりのコストは年間0.1億円ですので、
0.1億円×2=0.2億円
統合後の運用保守コストは、これら3つのコストを合計して、
6億円+1.5億円+0.2億円=7.7億円
したがって「ウ」が正解です。
∴f=ウ:7.7億円
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設問3
Gシステムの廃棄に関する次の記述中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。
本社の情報システム部門は,Gシステムの保守サポート期間の終了が迫っているので,Gシステムを廃棄し,他の需要予測システムによって代替できるかどうかを検討した。
新たなデータ連携経路を作成することなくGシステムとの代替が可能な需要予測システムはg。
本社の情報システム部門は,Gシステムの保守サポート期間の終了が迫っているので,Gシステムを廃棄し,他の需要予測システムによって代替できるかどうかを検討した。
新たなデータ連携経路を作成することなくGシステムとの代替が可能な需要予測システムはg。
g に関する解答群
- Eシステムだけである
- Fシステムだけである
- Eシステム及びFシステムである
- ない
解答選択欄
- g:
- g=イ
解説
〔gについて〕調達システムと需要予測システムの連携をまとめた表を再掲します。Gシステムが連携しているのは、VシステムとXシステムの2つです。Fシステムは、既にVシステムとGシステムとの間のデータ連携があるので、新たなデータ連携経路を作成することなくGシステムを代替可能です。一方、Eシステムはどちらの調達システムともデータ連携がないので、データ連携経路の作成なくしては代替不可能です。
したがって、FシステムだけがGシステムを代替可能と判断できます。
∴g=イ:Fシステムだけである
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