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基本情報技術者過去問題 平成23年特別 午後問7
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ゲーム理論を活用した出店戦略に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。
A社はドラッグストアチェーンで,地方都市X市を中心に20店舗を展開している。A社の店舗には,駅ビル内店舗と,郊外ショッピングモール内店舗の2種類がある。
A社のライバルであるB社は,同じく地方都市X市を中心に12店舗を展開しているドラッグストアチェーンである。B社の店舗には,駅ビル内店舗と,駅前商店街店舗の2種類がある。A社とB社の各店舗の種類と立地は,表1のとおりである。
なお,A社とB社が各店舗で取り扱う商品には,大きな相違点はない。 X市内のY地区は,私鉄のY駅を中心に開発が活発に進められている地区である。従って,表1に示すどの種類の店舗でも出店のための店舗スペースの確保が十分可能である。A社は来年度の事業展開としてY地区への1店舗の出店を計画している。A社は出店の方針として,駅ピル内店舗又は郊外ショッピングモール内店舗の2種類の店舗に絞っている。A社はY地区について,どちらの種類の店舗を出店すべきか戦略を立案することになった。
A社は,Y地区への出店に関して外部の調査機関に依頼して,Y地区に店舗を出店した場合の売上見込みなどの調査結果を得た。
〔市場環境〕
購買動機などの基準によって,消費者全体を幾つかの独立した小部分に区分したものを消費者セグメントと呼ぶ。Y地区における,ドラッグストアを利用する消費者全体を,利用する店舗の種類で四つの独立した消費者セグメントに区分した。それぞれのセグメントに対する月間売上見込みと,各セグメントが利用する店舗の種類を表2に示す。例えば,セグメント2に対する月間売上見込みは,駅ピル内店舗と駅前商店街店舗との合計で1,000万円となる。 Y地区における競合環境に関して,次のような情報が得られている。
〔競合環境〕
A社はドラッグストアチェーンで,地方都市X市を中心に20店舗を展開している。A社の店舗には,駅ビル内店舗と,郊外ショッピングモール内店舗の2種類がある。
A社のライバルであるB社は,同じく地方都市X市を中心に12店舗を展開しているドラッグストアチェーンである。B社の店舗には,駅ビル内店舗と,駅前商店街店舗の2種類がある。A社とB社の各店舗の種類と立地は,表1のとおりである。
なお,A社とB社が各店舗で取り扱う商品には,大きな相違点はない。 X市内のY地区は,私鉄のY駅を中心に開発が活発に進められている地区である。従って,表1に示すどの種類の店舗でも出店のための店舗スペースの確保が十分可能である。A社は来年度の事業展開としてY地区への1店舗の出店を計画している。A社は出店の方針として,駅ピル内店舗又は郊外ショッピングモール内店舗の2種類の店舗に絞っている。A社はY地区について,どちらの種類の店舗を出店すべきか戦略を立案することになった。
A社は,Y地区への出店に関して外部の調査機関に依頼して,Y地区に店舗を出店した場合の売上見込みなどの調査結果を得た。
〔市場環境〕
購買動機などの基準によって,消費者全体を幾つかの独立した小部分に区分したものを消費者セグメントと呼ぶ。Y地区における,ドラッグストアを利用する消費者全体を,利用する店舗の種類で四つの独立した消費者セグメントに区分した。それぞれのセグメントに対する月間売上見込みと,各セグメントが利用する店舗の種類を表2に示す。例えば,セグメント2に対する月間売上見込みは,駅ピル内店舗と駅前商店街店舗との合計で1,000万円となる。 Y地区における競合環境に関して,次のような情報が得られている。
〔競合環境〕
- X市のY地区は,これまでドラッグストアチェーン店が出店したことはない。しかし,最近のY地区の人口増加傾向を受けて,A社のライバルであるB社も来年度,Y地区に駅ビル内店舗又は駅前商店街店舗のいずれか1店舗を出店する可能性が高い。B社がどちらの種類の店舗を出店するのか,又は出店しないのかに関しての情報は入手できていない。
- A社とB社が競合する他地区での売上実績から推測して,Y地区でA社とB社の店舗が同じ消費者セグメントを対象として販売する場合,対象とする消費者セグメントに対する売上は,双方の店舗で50%ずつ獲得するものと予想される。
設問1
調査結果に基づいて,Y地区へのA社が採り得る出店戦略とB社が採り得る出店戦略との組合せによって,売上高がどうなるかの予測に関する次の記述中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
- a出店した場合,セグメント1及びセグメント2で見込まれる売上はB社が,セグメント3及びセグメント4で見込まれる売上はA社が独占して獲得する。
- b出店した場合,セグメント1及びセグメント2で見込まれる売上の合計額を,両社が50%ずつ獲得する。
a,b に関する解答群
- A社が駅ビル内店舗を,B社が駅前商店街店舗を
- A社が郊外ショッピングモール内店舗を,B社が駅ビル内店舗を
- A社が郊外ショッピングモール内店舗を,B社が駅前商店街店舗を
- A社,B社ともに駅ビル内店舗を
解答選択欄
- a:
- b:
解答
- a=イ
- b=エ
解説
〔aについて〕
表2よりセグメント1は駅ビル内店舗しか利用しないため、セグメント1からの売上を得るには駅ビル内店舗に出店する必要があります。したがってセグメント1からの売上を得るB社の出店先は駅ビル内店舗が適切です。
同様にセグメント4は郊外ショッピングモール内店舗しか利用しないため、セグメント4からの売上を得るには郊外ショッピングモール内店舗に出店する必要があります。したがってセグメント4からの売上を得るA社の出店先は郊外ショッピングモール内店舗が適切です。
A社が郊外ショッピングモール内店舗に、B社が駅ビル内店舗を出店した場合は競合が起きず、セグメント1,2の売上をB社が、セグメント3,4の売上をA社がそれぞれ独占する形になります。∴a=イ
〔bについて〕
売上獲得の対象となっているセグメント1,2の両方が利用する店舗は駅ビル内店舗のみです。またA社,B社の両社が共通の出店候補としているのも駅ビル内店舗に限られます。したがって両者が同じ立地に出店し、かつ、セグメント1,2の売上を半分ずつ分け合うケースは「両者が駅ビル内店舗に出店する場合」になります。
∴b=エ
表2よりセグメント1は駅ビル内店舗しか利用しないため、セグメント1からの売上を得るには駅ビル内店舗に出店する必要があります。したがってセグメント1からの売上を得るB社の出店先は駅ビル内店舗が適切です。
同様にセグメント4は郊外ショッピングモール内店舗しか利用しないため、セグメント4からの売上を得るには郊外ショッピングモール内店舗に出店する必要があります。したがってセグメント4からの売上を得るA社の出店先は郊外ショッピングモール内店舗が適切です。
A社が郊外ショッピングモール内店舗に、B社が駅ビル内店舗を出店した場合は競合が起きず、セグメント1,2の売上をB社が、セグメント3,4の売上をA社がそれぞれ独占する形になります。∴a=イ
〔bについて〕
売上獲得の対象となっているセグメント1,2の両方が利用する店舗は駅ビル内店舗のみです。またA社,B社の両社が共通の出店候補としているのも駅ビル内店舗に限られます。したがって両者が同じ立地に出店し、かつ、セグメント1,2の売上を半分ずつ分け合うケースは「両者が駅ビル内店舗に出店する場合」になります。
∴b=エ
A社では, Y地区への出店戦略の検討に当たって, B社との競合が発生する可能性があることから, B社が採り得る出店戦略を考慮した上で, A社の売上を最大化すべく,ゲーム理論を活用することとした。そこで,調査結果に基づいて, A社が採り得る出店戦略とB社が採り得る出店戦略との組合せによって,売上がどうなるか利得行列を使って整理した。
利得行列とは,ゲームの要素である"プレイヤ","戦略","利得"の3要素を,表3のような行列の形で表したものである。例えば,プレイヤAが戦略A-1,プレイヤBが戦略B-1を採ったときのプレイヤA及びプレイヤBの利得は,網掛け部分で表される。
利得行列とは,ゲームの要素である"プレイヤ","戦略","利得"の3要素を,表3のような行列の形で表したものである。例えば,プレイヤAが戦略A-1,プレイヤBが戦略B-1を採ったときのプレイヤA及びプレイヤBの利得は,網掛け部分で表される。
設問2
市場環境及び競合環境の記述に基づいて作成された,表4の利得行列の中,及び次の記述中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。 ゲーム理論では,相手がどのような戦略を採ったとしても,自分にとって最も有利となる戦略を支配戦略と呼ぶ。表4で予測した利得行列をB社の立場からみると,A社がどの戦略を採った場合でも,B社はfことによって自社の売上を最大とすることができる。
そこで, B社が自社の売上を最大とすることができる戦略であるfことを仮定した場合,A社として自社の売上を最大とすることができる戦略はgことであることが分かる。
そこで, B社が自社の売上を最大とすることができる戦略であるfことを仮定した場合,A社として自社の売上を最大とすることができる戦略はgことであることが分かる。
c,d,e に関する解答群
- 0
- 5
- 10
- 15
- 20
- 25
- 30
f,g に関する解答群
- 駅ビル内店舗を出店する
- 駅前商店街店舗を出店する
- 郊外ショッピングモール内店舗を出店する
- Y地区への出店を見送る
解答選択欄
- c:
- d:
- e:
- f:
- g:
解答
- c=カ
- d=キ
- e=エ
- f=ア
- g=ウ
解説
〔cについて〕
出店先が、A社:駅ビル内店舗、B社:駅前商店街店舗のため売上獲得の対象はセグメント1,2になります。セグメント1の売上20百万円はA社が独占し、セグメント2の売上10百万円はA社とB社で50%ずつ分け合うことになります。したがって、A社の利得は、
20+(10÷2)=25(百万円)
∴c=カ:25
〔dについて〕
A社:駅ビル内店舗、B社:"出店なし"のため売上獲得の対象はセグメント1,2になります。セグメント1の売上20百万円はA社が独占し、セグメント2の売上10百万円もB社が出店しないためA社が独占することになります。したがって、A社の利得は、
20+10=30(百万円)
∴d=キ:30
〔eについて〕
A社:郊外ショッピングモール内店舗、B社:駅前商店街店舗のため売上獲得の対象はセグメント2,3,4になります。セグメント2の売上10百万円はB社が独占、逆にセグメント4の売上10百万円はA社により独占されます。さらにセグメント3の売上10百万円はA社とB社で50%ずつ分け合うことになるため、A社の利得は、
10+(10÷2)=15(百万円)
∴e=エ:15
以上の計算によって完成した利得行列は以下のようになります。〔fについて〕
利得行列のうちB社の利得に注目すると、A社が採る戦略に関わらず
出店しない<駅前商店街店舗≦駅ビル内店舗
を示していることがわかります。よってB社が売上を最大化を図った場合「駅ビル内店舗への出店」が選択されることになります。
∴f=ア:駅ビル内店舗を出店する
〔gについて〕
B社が駅ビル内店舗を出店した場合に、A社が得られる利得は利得行列より、
∴g=ウ:郊外ショッピングモール内店舗を出店する
出店先が、A社:駅ビル内店舗、B社:駅前商店街店舗のため売上獲得の対象はセグメント1,2になります。セグメント1の売上20百万円はA社が独占し、セグメント2の売上10百万円はA社とB社で50%ずつ分け合うことになります。したがって、A社の利得は、
20+(10÷2)=25(百万円)
∴c=カ:25
〔dについて〕
A社:駅ビル内店舗、B社:"出店なし"のため売上獲得の対象はセグメント1,2になります。セグメント1の売上20百万円はA社が独占し、セグメント2の売上10百万円もB社が出店しないためA社が独占することになります。したがって、A社の利得は、
20+10=30(百万円)
∴d=キ:30
〔eについて〕
A社:郊外ショッピングモール内店舗、B社:駅前商店街店舗のため売上獲得の対象はセグメント2,3,4になります。セグメント2の売上10百万円はB社が独占、逆にセグメント4の売上10百万円はA社により独占されます。さらにセグメント3の売上10百万円はA社とB社で50%ずつ分け合うことになるため、A社の利得は、
10+(10÷2)=15(百万円)
∴e=エ:15
以上の計算によって完成した利得行列は以下のようになります。〔fについて〕
利得行列のうちB社の利得に注目すると、A社が採る戦略に関わらず
出店しない<駅前商店街店舗≦駅ビル内店舗
を示していることがわかります。よってB社が売上を最大化を図った場合「駅ビル内店舗への出店」が選択されることになります。
∴f=ア:駅ビル内店舗を出店する
〔gについて〕
B社が駅ビル内店舗を出店した場合に、A社が得られる利得は利得行列より、
- 駅ビル内店舗に出店→15百万円
- 郊外ショッピングモール内店舗に出店→20百万円
∴g=ウ:郊外ショッピングモール内店舗を出店する