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基本情報技術者過去問題 平成26年秋期 午後問7
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受発注システムの改修に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。
事務用品卸売業のC社では,取引先から注文を受けたときに指定された納期(以下,要求納期という)どおりに納品できない場合があり,実際に納品する日程(以下,約束納期という)の調整を行っている。そこで,受発注システム(以下,システムという)を改修し,要求納期どおりに納品できる商品の割合(以下,要求納期遵守率という)を高めて,顧客満足度を上げることにした。現状のシステムを利用した受注発注及び入庫に関する処理は次のとおりである。
〔受注に関する処理〕
事務用品卸売業のC社では,取引先から注文を受けたときに指定された納期(以下,要求納期という)どおりに納品できない場合があり,実際に納品する日程(以下,約束納期という)の調整を行っている。そこで,受発注システム(以下,システムという)を改修し,要求納期どおりに納品できる商品の割合(以下,要求納期遵守率という)を高めて,顧客満足度を上げることにした。現状のシステムを利用した受注発注及び入庫に関する処理は次のとおりである。
〔受注に関する処理〕
- 営業担当は取引先からの注文を受け,受け付けた順に取引先,受注日,品名,数量,要求納期などの受注情報をシステムに入力する。受注日から要求納期までの期間を,納入リードタイムという。
- システムは,受注情報に対し,通し番号で受注番号を自動採番し,受注情報の品名と 数量を用いて,引当可能在庫に引当て(以下,在庫引当という)を行う。
- 在庫引当は,引当可能在庫の数量から受注情報の数量を減らして,引当可能在庫の数量を更新する。
- 引当可能在庫の数量が受注情報の数量に満たない場合は,システムは引当可能 在庫の数量だけを引き当て,不足した数量は,仕入先から新たに商品が入庫され入庫処理を行った後,受注情報を入力した順に在庫引当を行う。
- 引き当てられた商品は,引き当てられたその日のうちに取引先に納品することができる。
- 要求納期どおりに納品できる場合は要求納期に,調整を行った場合は約束納期に,取引先に納品する。
- 営業担当が取引先から注文を受け付ける時間(以下,注文受付時間という)は9時から16時までであり,注文受付時間内に,営業担当は受注情報を入力し,システムは在庫引当を行う。
- 商品の発注方式は定量発注方式で行っている。定量発注方式は,引当可能在庫の数量があらかじめ設定した数量(以下,発注点という)以下になったときに,一定数量(以下,発注量という)を発注して在庫を補充する方法である。商品ごとに発注点と発注量をシステムに設定し,引当可能在庫の数量を管理している。
- システムは品名,発注量などの情報を用いて発注処理を行う。発注処理は,注文受付時間の終了後に行われる。
- 発注処理によって,仕入先に発注書が自動で送信される。
- 発注書を送信した日から商品の入庫日までの期間(以下,調達リードタイムという)は,あらかじめ,商品ごとに仕入先と取り決めている。仕入先は十分な商品在庫をもち,欠品による納期遅れはないものとする。
- 入庫処理は注文受付時間内に行う。倉庫担当は,仕入先から入庫された商品の品名,数量などの情報をシステムに入力して入庫処理を行う。
- システムは,引当可能在庫の数量に入庫された数量を加算して,引当可能在庫の数量を更新する。
設問1
C社の業務に関する説明として適切な答えを,解答群の中から選べ。
解答群
- 仕入先への発注は,商品ごとに一定の日にち間隔で行われる。
- 受注情報を入力すると,納入リードタイムに関係なく,システムは在庫引当を行う。
- 引当可能在庫の数量がゼロの場合,受注情報を入力することはできない。
- 引当可能在庫の数量はマイナスになることがある。
解答選択欄
解答
- イ
解説
- 〔発注に関する処理〕(1)で説明されている通り、C社では定量発注方式の管理を行っています。発注するタイミングは在庫数が発注点以下になった時点なので発注間隔は一定ではありません。
- 正しい。〔受注に関する処理〕(2)で説明されている通り、システムは受注情報が入力されると自動採番し、在庫引当を行います。
- 引当在庫数量がゼロでも受注情報の入力は可能です。
システムは仕入先からの入庫後に受注情報の入力順に従い在庫引当を行うので、在庫引当の順番を守るためには受注情報を漏れなく順番に入力する必要があります。 - 〔受注に関する処理〕(4)で説明されている通り、引当数量よりも在庫数量が少ない場合は、在庫数量だけを引き当てて残りの引当は入庫処理の後に行われます。
設問2
システムの改修に関する次の記述中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。
C社では,システムの改修に当たり,従来の定量発注方式に加えて,新たな発注方式を追加することによって,要求納期遵守率を上げることにした。
この実現方法を検討するために,商品Xの受注情報と引当可能在庫の数量を分析した。商品Xは,C社の代表的な商品であり,商品Xの分析結果は,他の商品にも適用できるものとする。
商品Xの7月の受注情報及び引当可能在庫の数量を表1に示す。〔商品Xの情報〕
例えば,引当可能在庫の数量が100個のときに,納入リードタイムが9日で数量が100個の受注があった場合,受注した時点で仕入先に発注すれば,7日後に倉庫に入庫された商品を要求納期に納品することができる。しかし,現状のシステムでは,引当可能在庫の数量はゼロとなり,c。
そこで,受注情報の納入リードタイムが調達リードタイム以上である場合,次のような処理ができるようにシステムを改修する。
ただし,このシステム改修に当たっては,受注情報の納入リードタイムが調達リードタイム以上である場合が長期にわたって連続すると,引当可能在庫があるにもかかわらず在庫引当されないという課題があるので,8月以降も受注情報と引当可能在庫の数量を分析した上でシステム改修の判断をするものとした。
C社では,システムの改修に当たり,従来の定量発注方式に加えて,新たな発注方式を追加することによって,要求納期遵守率を上げることにした。
この実現方法を検討するために,商品Xの受注情報と引当可能在庫の数量を分析した。商品Xは,C社の代表的な商品であり,商品Xの分析結果は,他の商品にも適用できるものとする。
商品Xの7月の受注情報及び引当可能在庫の数量を表1に示す。〔商品Xの情報〕
- 調達リードタイムは7日間である。
- 発注点は90個,発注量は300個である。
- 6月末の引当可能在庫の数量は270個である。
- 定量発注方式による発注処理はaに行われた。
- 取引先の要求納期に納品できなかった受注情報の受注番号はbである。
- 納入リードタイムが調達リードタイム以上の受注情報は3件ある。
例えば,引当可能在庫の数量が100個のときに,納入リードタイムが9日で数量が100個の受注があった場合,受注した時点で仕入先に発注すれば,7日後に倉庫に入庫された商品を要求納期に納品することができる。しかし,現状のシステムでは,引当可能在庫の数量はゼロとなり,c。
そこで,受注情報の納入リードタイムが調達リードタイム以上である場合,次のような処理ができるようにシステムを改修する。
- d
- システムは,受注情報の数量を,新たな発注方式で発注処理する。
- システムは,個別に発注処理されて仕入先から入庫された商品を引当可能在庫に加算せず,該当する受注情報の取引先に納品する。
ただし,このシステム改修に当たっては,受注情報の納入リードタイムが調達リードタイム以上である場合が長期にわたって連続すると,引当可能在庫があるにもかかわらず在庫引当されないという課題があるので,8月以降も受注情報と引当可能在庫の数量を分析した上でシステム改修の判断をするものとした。
a に関する解答群
- 7月17日
- 7月18日
- 7月19日
- 7月20日
b に関する解答群
- 130168と130169
- 130168と130169と130175
- 130168と130175
- 130169と130175
c に関する解答群
- 倉庫にある商品の数量もゼロになってしまう
- 引き当てられた100個の商品は,倉庫に商品があるにもかかわらず,発注した商品の入庫日よりも前の要求納期をもつ別の受注に在庫引当ができない
- 引き当てられた100個の商品は,その日に納品されてしまう
- 引き当てられた100個の商品は,別の受注に在庫引当ができてしまう
d に関する解答群
- 営業担当が受注情報を入力しても,システムは在庫引当を行わない
- 営業担当が受注情報を入力すると,システムは受注情報の数量を引当可能在庫の数量に加算する
- 営業担当が引当可能在庫の数量から受注情報の数量を減らし,引当可能在庫の数量を更新する
- システムが在庫引当を行わないように,営業担当は受注情報を入力しない
e に関する解答群
- 0
- 65
- 90
- 125
解答選択欄
- a:
- b:
- c:
- d:
- e:
解答
- a=ウ
- b=ア
- c=イ
- d=ア
- e=ウ
解説
〔aについて〕
発注点は90個なので、引当可能在庫が90個以下になった日の注文受付時間の終了後に発注が行われます。90個以下になるのは、7月19日なのでこの日が発注日となります。
∴a=ウ:7月19日
〔bについて〕
発注が7月19日に行われ、納入まで7日を要するので仕入先からの納品は7月26日になります。
上記の表で在庫引当ができなかった下の3行の受注のうち、最下段の7月27日納期分については商品Xの入庫後なので納品前に在庫引当が可能ですが、それ以外の2つの受注(受注番号130168と130169)は、要求納期時に在庫がないため納期遅れになります。
∴b=ア:130168 と 130169〔cについて〕
現在のシステムでは、要求納期の早い遅いに関わらず受注順に在庫引当が行われ、一度引当が行われた商品は別の受注に在庫引当ができません。これにより在庫があるにも関わらず納品ができないことがあるという問題があります。
〔dについて〕
これまでのシステムの処理には「納入リードタイムが調達リードタイム以上でも在庫引当が行われる」ために納入納期が短い別の受注に在庫を充てることができず納期遅れが起こるという問題があります。
納入リードタイムが調達リードタイム以上であれば受注後に受注分の発注を行っても納期に間に合うので、該当する受注情報に関しては、在庫引当→納品という流れではなく、発注→納品という別個の処理にすれば、引当可能在庫を納入納期が短い別の受注に充てることができるようになります。
つまり(1)の処理で"在庫引当を行わない"、(2)の処理で"受注数量を個別に発注"、(3)の処理で"仕入れ先から納品された商品を取引先に直接納品する"とするのが適切です。
∴d=ア
〔eについて〕
表2の受注情報のうち、納入リードタイム≧調達リードタイム(7日)となっているのは(受注番号130144と130148)の2つです。この2つの受注情報に関しては在庫引当を行わないので引当可能在庫数の推移は次のようになると予想されます。したがってeは90になります。
∴e=ウ:90
発注点は90個なので、引当可能在庫が90個以下になった日の注文受付時間の終了後に発注が行われます。90個以下になるのは、7月19日なのでこの日が発注日となります。
∴a=ウ:7月19日
〔bについて〕
発注が7月19日に行われ、納入まで7日を要するので仕入先からの納品は7月26日になります。
上記の表で在庫引当ができなかった下の3行の受注のうち、最下段の7月27日納期分については商品Xの入庫後なので納品前に在庫引当が可能ですが、それ以外の2つの受注(受注番号130168と130169)は、要求納期時に在庫がないため納期遅れになります。
∴b=ア:130168 と 130169〔cについて〕
現在のシステムでは、要求納期の早い遅いに関わらず受注順に在庫引当が行われ、一度引当が行われた商品は別の受注に在庫引当ができません。これにより在庫があるにも関わらず納品ができないことがあるという問題があります。
- 引当可能在庫がゼロになっても、納品は要求納期の期日に行われます。
- 正しい。
- 納品は要求納期の期日に行われます。
- 一度引当が行われた商品は別の受注に在庫引当ができません。
〔dについて〕
これまでのシステムの処理には「納入リードタイムが調達リードタイム以上でも在庫引当が行われる」ために納入納期が短い別の受注に在庫を充てることができず納期遅れが起こるという問題があります。
納入リードタイムが調達リードタイム以上であれば受注後に受注分の発注を行っても納期に間に合うので、該当する受注情報に関しては、在庫引当→納品という流れではなく、発注→納品という別個の処理にすれば、引当可能在庫を納入納期が短い別の受注に充てることができるようになります。
つまり(1)の処理で"在庫引当を行わない"、(2)の処理で"受注数量を個別に発注"、(3)の処理で"仕入れ先から納品された商品を取引先に直接納品する"とするのが適切です。
∴d=ア
〔eについて〕
表2の受注情報のうち、納入リードタイム≧調達リードタイム(7日)となっているのは(受注番号130144と130148)の2つです。この2つの受注情報に関しては在庫引当を行わないので引当可能在庫数の推移は次のようになると予想されます。したがってeは90になります。
∴e=ウ:90