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基本情報技術者過去問題 平成27年秋期 午後問7
⇄問題文と設問を画面2分割で開く⇱問題PDF問7 経営戦略・企業と法務
新システム稼働による業績改善に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。
消費財メーカーのZ社は,営業支援とコスト管理のための新システムを開発している。Z社には五つの事業部があり,各事業部の2015年度の売上高と営業利益の見込みは表1のとおりである。各事業部は,2016年度初日からの新システム稼働によって,2016年度に表2の業績改善を期待している。ここで,営業利益率は売上高に対する営業利益の比率である。
Z社は,表1,2を基に,各事業部の2016年度の業績について予想することにした。ここで,2016年度の売上高と営業利益が2015年度から変動する要因は,新システム稼働による業績改善だけとする。
消費財メーカーのZ社は,営業支援とコスト管理のための新システムを開発している。Z社には五つの事業部があり,各事業部の2015年度の売上高と営業利益の見込みは表1のとおりである。各事業部は,2016年度初日からの新システム稼働によって,2016年度に表2の業績改善を期待している。ここで,営業利益率は売上高に対する営業利益の比率である。
Z社は,表1,2を基に,各事業部の2016年度の業績について予想することにした。ここで,2016年度の売上高と営業利益が2015年度から変動する要因は,新システム稼働による業績改善だけとする。
設問1
2016年度の業績の予想に関する次の記述中の に入れる適切な答えを,解答群の中から選べ。
表1,2を基に各事業部の2016年度の売上高と営業利益を予想した結果,及び売上高の事業部構成比と各事業部の営業利益率を表3に示す。 表3から,新システム稼働による売上高への効果は,16億円を期待できる。また,2015年度から2016年度に掛けて売上高の増加額が最も大きいのはa事業部である。2015年度と2016年度それぞれの売上高の事業部構成比を多重円グラフに表すと,図1のとおりになる。ここで,多重円グラフの内側が2015年度の構成比,外側が2016年度の構成比である。 表3から,2016年度の期待する営業利益率が最も大きいのは,c事業部である。また,2016年度の各事業部の期待する営業利益をパレート図に表すと,図2のとおりになる。
表1,2を基に各事業部の2016年度の売上高と営業利益を予想した結果,及び売上高の事業部構成比と各事業部の営業利益率を表3に示す。 表3から,新システム稼働による売上高への効果は,16億円を期待できる。また,2015年度から2016年度に掛けて売上高の増加額が最も大きいのはa事業部である。2015年度と2016年度それぞれの売上高の事業部構成比を多重円グラフに表すと,図1のとおりになる。ここで,多重円グラフの内側が2015年度の構成比,外側が2016年度の構成比である。 表3から,2016年度の期待する営業利益率が最も大きいのは,c事業部である。また,2016年度の各事業部の期待する営業利益をパレート図に表すと,図2のとおりになる。
a,c に関する解答群
- P
- Q
- R
- S
- T
b に関する解答群
d に関する解答群
解答選択欄
- a:
- b:
- c:
- d:
解答
- a=ウ
- b=イ
- c=オ
- d=イ
解説
まず表3の網かけ部分を計算し、表を完成させます。
[2016年度売上高、及び構成比]
各事業部の売上高増加額を求めます。
[P事業部] 180-180=0(変動なし)
[Q事業部] 105-100=5
[R事業部] 66-60=6
[S事業部] 50-50=0(変動なし)
[T事業部] 15-10=5
したがって増加額が最も大きい事業部は「R」になります。
a=ウ:R
〔bについて〕
2015年から2016年の構成比の変動に注意して適切な答えを導きます。事業部ごとの変動率は以下のようになります。
[P事業部] 43.3-45=-1.7%
[Q事業部] 25.2-25=+0.2%
[R事業部] 15.9-15=+0.9%
[S事業部] 12-12.5=-0.5%
[T事業部] 3.6-2.5=+1.1%
まず最も構成比の大きいP事業部の注目すると、4つのグラフの中で2015年(内側)よりも2016年(外側)が減少しているものは「ア」「イ」の2つです。したがってこの時点で「ウ」「エ」は選択肢より除外できます。さらに最も構成比の小さいT事業部に注目すると「ア」では減少、「イ」では増加と異なっています。T事業部の構成比は2016年度で増加しているため、推移を適切に表現しているのは「イ」のグラフとわかります。b=イ
〔cについて〕
完成した表3より最も営業利益率が高くなる事業部は13.3%の「T」とわかります。c=オ:T
〔dについて〕
パレート図は、値の大きい順に分析対象の項目を並べた棒グラフと、累積構成比を表す折れ線グラフを組み合わせた複合グラフです。営業利益の大きい事業部ほどグラフの左側に位置することになるので、営業利益の大小と各選択肢の棒グラフの並びが適切になっている答えを導きます。
表3を基に2016年の営業利益の大きい順に並べると以下のようになります。
P(15.4)>Q(12.6)>S(5)>T(2.0)>R(1.2)
選択肢のうち上記の順序で棒グラフが並んでいる「イ」が答えとなります。d=イ
[2016年度売上高、及び構成比]
- Q事業部
- 売上高は2015年度よりも5%増加するので、
100×1.05=105
構成比は、
105÷416≒25.2% - R事業部
- 売上高は2015年度よりも10%増加するので、
60×1.1=66
構成比は、
66÷416≒15.9% - T事業部
- 売上高は2015年度よりも50%増加するので、
10×1.5=15
構成比は、
15÷416≒3.6%
- P事業部
- 営業利益は2015年度よりも10%増加するので、
14×1.1=15.4
営業利益率は、
15.4÷180≒8.6% - S事業部
- 営業利益率が10%になるので、営業利益は
50×0.1=5
各事業部の売上高増加額を求めます。
[P事業部] 180-180=0(変動なし)
[Q事業部] 105-100=5
[R事業部] 66-60=6
[S事業部] 50-50=0(変動なし)
[T事業部] 15-10=5
したがって増加額が最も大きい事業部は「R」になります。
a=ウ:R
〔bについて〕
2015年から2016年の構成比の変動に注意して適切な答えを導きます。事業部ごとの変動率は以下のようになります。
[P事業部] 43.3-45=-1.7%
[Q事業部] 25.2-25=+0.2%
[R事業部] 15.9-15=+0.9%
[S事業部] 12-12.5=-0.5%
[T事業部] 3.6-2.5=+1.1%
まず最も構成比の大きいP事業部の注目すると、4つのグラフの中で2015年(内側)よりも2016年(外側)が減少しているものは「ア」「イ」の2つです。したがってこの時点で「ウ」「エ」は選択肢より除外できます。さらに最も構成比の小さいT事業部に注目すると「ア」では減少、「イ」では増加と異なっています。T事業部の構成比は2016年度で増加しているため、推移を適切に表現しているのは「イ」のグラフとわかります。b=イ
〔cについて〕
完成した表3より最も営業利益率が高くなる事業部は13.3%の「T」とわかります。c=オ:T
〔dについて〕
パレート図は、値の大きい順に分析対象の項目を並べた棒グラフと、累積構成比を表す折れ線グラフを組み合わせた複合グラフです。営業利益の大きい事業部ほどグラフの左側に位置することになるので、営業利益の大小と各選択肢の棒グラフの並びが適切になっている答えを導きます。
表3を基に2016年の営業利益の大きい順に並べると以下のようになります。
P(15.4)>Q(12.6)>S(5)>T(2.0)>R(1.2)
選択肢のうち上記の順序で棒グラフが並んでいる「イ」が答えとなります。d=イ
設問2
Z社では,現在開発している新システムの稼働開始が遅延するリスクと,期待している効果が見込みよりも小さくなるリスクを考慮して,2016年度の業績を予想することにした。確率を考慮した業績の予想に関する次の記述中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
Z社が想定した,新システムが稼働する時期と効果の実現度合いは,図3に示す決定木のとおりである。 図3から,新システムが予定どおり2016年度初日から稼働して,期待どおりの効果を実現する確率は,e。
同様に,新システムが稼働する時期と効果の実現度合いそれぞれの確率を考慮すると,2016年度の事業部の売上高合計の期待値を千万円の単位で四捨五入した額は,f億円になる。
Z社が想定した,新システムが稼働する時期と効果の実現度合いは,図3に示す決定木のとおりである。 図3から,新システムが予定どおり2016年度初日から稼働して,期待どおりの効果を実現する確率は,e。
同様に,新システムが稼働する時期と効果の実現度合いそれぞれの確率を考慮すると,2016年度の事業部の売上高合計の期待値を千万円の単位で四捨五入した額は,f億円になる。
e に関する解答群
- 50%を上回る
- 70%以上である
- 期待どおりの効果が実現できない確率よりも低い
- 期待の40%以下の効果しか実現しない確率よりも低い
- 期待の50%以下の効果しか実現しない確率の2倍以上である
f に関する解答群
- 300
- 312
- 404
- 408
- 412
解答選択欄
- e:
- f:
解答
- e=ウ
- f=オ
解説
〔eについて〕
条件1が起こったことを前提に、次の試行で条件2が起こる確率を「条件付き確率」といい、その発生確率は次の式で求めることができます。
条件1の発生確率×条件2の発生確率
よって決定木の各ケースの実現確率は以下のように計算できます。図より新システムが予定通り2016年度初日から稼働し、期待通りの効果を実現する確率は「49%」です。
〔fについて〕
表3より新システムが導入され期待通りの効果が実現したときの売上高合計の増加は、
416-400=16(億円)
と見込まれます。決定木と各ケースの発生確率を基に期待値を計算します。それぞれのケースごと「増加額×発生確率」を求め、それを総和することで期待値を算出します。
[100%実現] 16×1×0.49=7.84
[80%実現] 16×0.8×0.21=2.688
[50%実現] 16×0.5×0.14=1.12
[40%実現] 16×0.4×0.06=0.384
[0%実現] 16×0×0.1=0
期待値=7.84+2.688+1.12+0.384
=12.032
=12.032(千万単位で四捨五入)
売上額増加の期待値は12億円となるため、2015年の売上高合計400億円と足し合わせた「412億円」が2016年度の売上額合計の期待値となります。
f=オ:412
条件1が起こったことを前提に、次の試行で条件2が起こる確率を「条件付き確率」といい、その発生確率は次の式で求めることができます。
条件1の発生確率×条件2の発生確率
よって決定木の各ケースの実現確率は以下のように計算できます。図より新システムが予定通り2016年度初日から稼働し、期待通りの効果を実現する確率は「49%」です。
- 49%なので、50%を上回りません。
- 49%なので、70%以上ではありません。
- 正しい。期待した効果が実現できない確率は、
1-期待した効果が実現できる確率
=1-0.49=0.51
=51(%)
又は決定木の下から4つ分の確率を足して
21+14+6+10=51(%)
したがって期待した効果が実現する確率(49%)は、実現しない確率(51%)よりも低くなります。 - 期待の40%以下の効果しか実現しないのは決定木の下2つのケースなので、発生確率は、
6+10=16(%)
したがって49%である期待した効果が実現する確率の方が高くなります。 - 期待の50%以下の効果しか実現しないのは決定木の下3つのケースなので、発生確率は、
14+6+10=30(%)
したがって49%である期待した効果が実現する確率の方が高くなります。
〔fについて〕
表3より新システムが導入され期待通りの効果が実現したときの売上高合計の増加は、
416-400=16(億円)
と見込まれます。決定木と各ケースの発生確率を基に期待値を計算します。それぞれのケースごと「増加額×発生確率」を求め、それを総和することで期待値を算出します。
[100%実現] 16×1×0.49=7.84
[80%実現] 16×0.8×0.21=2.688
[50%実現] 16×0.5×0.14=1.12
[40%実現] 16×0.4×0.06=0.384
[0%実現] 16×0×0.1=0
期待値=7.84+2.688+1.12+0.384
=12.032
=12.
売上額増加の期待値は12億円となるため、2015年の売上高合計400億円と足し合わせた「412億円」が2016年度の売上額合計の期待値となります。
f=オ:412